外注費とAI投資はどちらが先か ー コールセンターのBPO活用とAI導入の順番

国内コンタクトセンターの外注市場が、縮み始めた。デロイト トーマツ ミック経済研究所の調査によると、2024年度のコンタクトセンターBPO市場は9,314.0億円で前年比2.3%減。コロナ関連対応の終了と従来型コール業務の縮小が要因とされる(2026年3月発刊・主要36社個別調査)。一方で、矢野経済研究所の2026年調査は、コールセンターサービス事業者、つまりBPO自身が外販するAIサービス市場が年平均31.7%で成長し、2029年度に313億円へ達すると予測する。外注の器が縮み、その外注先がAIを売る側に回り始めた。では発注側の企業は、外注費とAI投資のどちらを先に動かすべきなのか。本稿の立場を先に言えば、この順番は「どちらが安いか」では決まらない。呼量の変動幅と業務の標準化度という2つの軸で決まると見ている。
1. コールセンター外注市場に起きている異変を数字で見る
まず規模感を確認する。BPO市場9,314億円・2.3%減という数字は、成長が当たり前だったこの市場では珍しい動きになる。当て馬として別の統計を置くと、矢野経済研究所の調査では2024年度のコールセンターサービス市場は1兆517億円で前年比3.5%減。コロナ禍で膨らんだ官公庁系の大型スポット案件が2024年度でほぼ終了したことが要因と分析されている。ミックと矢野で市場規模が1,200億円ほど違うのは、集計対象とするサービスの定義や対象事業者の範囲が異なるためで、両者の絶対額を横並びで比較することはできない。ただし、範囲の異なる2つの統計が揃って前年割れを示した事実は重い。
その本体に対して、BPOが外販するAIサービス市場の313億円という予測値は、市場全体の3%程度の規模でしかない。もっとも、注目すべきは絶対額ではなく成長率の差になる。本体が前年比2.3%減、AI外販がCAGR31.7%。この2つの傾きが数年続くと、BPOの事業構造そのものが変わる。
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