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コールセンターのAIロープレ主要17サービス一覧 ー 専業SaaSからBPO内製・海外の合成顧客まで、公表事実だけの事業者マップ【2026年9月版】

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2026年8月26日、ギブリーがスキルプラットフォーム「Track」上で研修ツール「Track AIロープレ」の提供を開始した。ギブリーの発表によれば、第一弾の提供先は営業でも接客でもなく、コールセンター・コンタクトセンター向けである。生成AIが顧客役を演じ、応対を自動評価するAIロープレは、この2〜3年で専業SaaSから大手プラットフォーム、BPOの内製、海外のCCプラットフォームまでプレイヤーが出揃った。本稿は、公開情報で一次確認できた17サービスを事実の地図として整理する。どれが優れているかは書かず、何が公表されていて何が公表されていないかを書く。

AIロープレとは何か。何を自動化し、何がまだ人なのか

AIロープレとは何か。何を自動化し、何がまだ人なのか

本稿でAIロープレと呼ぶのは、生成AIが顧客役(模擬顧客)を演じ、オペレーターや新人が応対練習を行い、AIが評価とフィードバックまで返す研修ツールである。使うのはオペレーター本人だが、シナリオ設計・評価基準・進捗管理を握るのはSVや研修担当であり、買い手はセンターの管理側になる。例えるならパイロットのフライトシミュレーターに近い。実機、つまり実際の顧客を使わずに、失敗してよい場で反復練習できることが価値の核である。

このカテゴリが2〜3年で出揃った理由は単純で、生成AI以前は顧客役を人が演じるしかなかったからだ。大規模言語モデルの登場で「急いでいる顧客」「話が飛ぶ顧客」「威圧的な顧客」を安価に量産できるようになり、講師の空き時間で頭打ちだった練習量の制約が外れた。

境界線を3本引いておく。本番の通話中にAIが回答候補を提示するリアルタイム応対支援(Savviの「スクリー」など)は、練習ではなく本番の道具でありロープレではない。実際の応対を事後に採点する通話評価・QAも別カテゴリで、ロープレが本番前、QAが本番後という関係にある。そしてボイスボットは顧客対応そのものをAIが担うのに対し、ロープレはAIが顧客側に回る。AIの立ち位置が逆である。

自動化されるのは顧客役の量産、一次評価、反復練習の場の提供までである。評価基準の設計、シナリオが自社の応対実態に合っているかの判断、評価結果を踏まえた個別のコーチングは、現時点でどのサービスでも人の仕事として残っている。

事業者の参入経路は6つの類型に整理できる。①国内CC専業SaaS、②営業・接客も含む汎用併用型、③営業ロープレ・LMSからの越境、④通話解析からの拡張、⑤BPOの内製、⑥AIエージェント検証と訓練を統合する海外型、である。

公開情報で確認できた17サービス(五十音順)

事業者の地図。公開情報で確認できた17サービス(五十音順)

掲載するのは、2026年9月1日時点でベンダー一次情報(製品ページ・公式リリース)または業界誌の特集本文で存在を確認できたサービスのみである。掲載順は五十音順(外資・英字名は読み仮名順)で、並び順に意味はない。

サービス名(読み)

提供企業

類型

公表されている主な事実

数値の性質

アバトレ

AVITA

汎用併用型

2023年10月正式リリース。日本調剤が全国768店舗(2026年6月1日時点)の従業員教育に導入

実績(規模)。効果数値は未公表

AmiVoice RolePlay(アミボイス ロールプレイ)

アドバンスト・メディア

営業系越境

訴求は営業研修中心。業界誌のAIロープレ特集(2025年11月号)掲載

導入社数・効果数値の記載なし

InnovaCall(イノバコール)

ARアドバンストテクノロジ

CC専業SaaS

2026年4月リリース。SBI新生銀行が導入決定(2026年7月発表)。初期費用10万円から・月額10万円から(ライトプラン・税抜)

PoC値(65名・約3ヶ月・主観指標95%)

exaBase ロープレ(エクサベース)

エクサウィザーズ

営業系越境

2024年4月提供開始。オリックス生命がCC新入社員研修のロープレ約4割で活用開始(2025年5月発表)。利用ユーザー5万人(2026年5月末時点)

同社発表。負荷「4割削減」は見込み値

SAPI ロープレ(サピ)

Sapeet

CC適用明記

カスハラ対応研修向け提供(2025年3月発表)。金融業コンタクトセンターの適用事例

ベンダー発表(特定1社の実績値)

Synthetic Customers/Training Simulator(シンセティック カスタマーズ)

Cresta(米国)

海外統合型

2026年5月発表(訓練専用製品は同7月発表)。実会話データから合成顧客を自動生成

効果数値の公表なし

TP Simulation(ティーピー シミュレーション)

テレパフォーマンス

BPO内製

動画研修・生成AIロールプレイ・オンラインテストの3点構成。公開情報は業界誌特集(2024年8月)

業界誌報道。定量成果の公開なし

TalkAId(トークエイド)

木村情報技術

CC用途明記

製薬MR研修が主軸。コールセンターのオペレーター教育を用途に明記

導入実績・効果数値の公開なし

Track AIロープレ(トラック)

ギブリー

CC専業(第一弾)

2026年8月26日提供開始。第一弾はコールセンター・コンタクトセンター向け

単体の導入事例は未公開

TRAPACK(トレパック)

Savvi

CC専業SaaS

CC向けAIロープレ研修プラットフォーム。個社要件に合わせたシナリオ設計

公開導入事例・公開数値なし

パーソルコミュニケーションサービス(内製ツール)(ぱーそる)

パーソルコミュニケーションサービス(旧富士通コミュニケーションサービス)

BPO内製

AIが顧客役・自動評価の内製ツールを運用(旧社名当時の業界誌特集・2024年8月)。2025年2月に商号変更

業界誌報道。単独の効果数値なし

PeopleX AIロープレ(ピープルエックス)

PeopleX

営業系越境

2025年12月発表・2026年1月提供開始(発表時告知)。無料プラン(月5回)あり

一次資料にCC言及なし

VideoTouch AIロープレ(ビデオタッチ)

VideoTouch

CC専業SaaS

ベルシステム24の受託先新人35名研修でロープレ時間132時間から9時間(約9割削減)。三菱UFJ信託銀行導入(2026年4月発表)。導入25社以上

実測値+見込み値+同社発表が混在

ベルシステム24(内製アプリ)(べるしすてむ)

ベルシステム24

BPO内製

2023年12月発表。Azure OpenAI活用、就業支援施設で検証

公表数値なし(検証段階の発表)

MiiTel Synapse Agent(ミーテル)

RevComm

通話解析から拡張

「AIが模擬顧客」機能を含むSynapseを2025年7月発表。Agentは2026年7月時点でβ版

模擬顧客機能の公開事例なし

UMU AIロープレ(ユーム)

ユームテクノロジージャパン

LMS内蔵型

2026年1月発表。学習プラットフォーム内の機能群として提供

CCの公開導入事例は未確認

RealSkill(リアルスキル)

TTEC(米国)

海外統合型・BPO

2026年8月24日にBrandon Hall Group金賞。同社AI人材基盤全体で100社超・25,000人を支援

ベンダー発表(受賞リリース記載の自己申告)

各サービスの短評を同じく五十音順で記す。

アバトレ(AVITA) は2023年10月正式リリースの汎用型で、営業・接客・コールセンター対応・人事研修まで対象が広い。日本調剤の導入発表によれば、全国768店舗(2026年6月1日時点)の店舗従業員教育に導入され、電話応対や調剤対応のシナリオが運用されている。導入規模は公表されているが、効果数値は公表されていない。

AmiVoice RolePlay(アドバンスト・メディア) はCC音声認識大手による提供だが、製品ページの訴求は営業研修が中心で、導入社数・効果数値の記載はない。コールセンタージャパン2025年11月号のAIロープレ特集に掲載された4社(Sapeet・エクサウィザーズ・VideoTouch・アドバンスト・メディア)の一角である。

InnovaCall(ARアドバンストテクノロジ) は東証グロース上場のARIが2026年4月にリリースしたCC専業型で、SBI新生銀行の導入決定が2026年7月に発表されている(導入決定であり、稼働報告ではない)。ローンチ時のPoCではオペレーター65名・約3ヶ月で95%が応対品質の向上を「実感」と回答した(PoC値・アンケートによる主観指標)。

exaBase ロープレ(エクサウィザーズ) は2024年4月提供開始と国内では古参にあたり、利用ユーザーは5万人(2026年5月末時点・同社発表)とされる。オリックス生命の導入リリースでは、コールセンター新入社員研修のロープレ約4割で活用を開始したと発表され、営業系越境勢では数少ない明確なCC公開事例である。同リリースの教育役ベテラン社員の負荷「4割削減」は見込み値と明記されている。

SAPI ロープレ(Sapeet) は営業・接客・CC横断の外販SaaSで、2025年3月にカスハラ対応研修向けの提供を発表し、コールセンターを活用業界に明記した。脅迫・暴言・長時間の電話拘束といったシナリオで、正当なクレームとの判別や通話終了の判断を訓練する。顧客満足度約15%向上などの数値はベンダー公表の特定1社の実績で、業種との紐づけは公開されていない。

Synthetic Customers/Training Simulator(Cresta) は、米Crestaが2026年5月に発表した合成顧客機能と、それを有人訓練専用に展開した7月発表の訓練製品である。Synthetic Customersの発表によれば、実際の通話・チャットデータから顧客ペルソナを自動生成し、AIエージェントの本番前検証と有人オペレーターの訓練を同一基盤で回す設計をとる。効果数値は両リリースとも一切記載されていない。

TP Simulation(テレパフォーマンス) は世界最大級BPOの内製ツールで、動画研修・生成AIロールプレイング・習熟度テストの3点構成をとる。単独の製品ページは確認できず、公開情報はコールセンタージャパンの特集(2024年8月)が実質的な一次であり、OJT短縮などの定量成果は公開されていない。

TalkAId(木村情報技術) は製薬MR研修を主軸としつつ、コールセンターのオペレーター教育を用途として明記する。導入実績・効果数値の公開はない(2026年9月1日時点)。

Track AIロープレ(ギブリー) は2026年8月26日提供開始で、企業ごとのマニュアルに即したシナリオ生成と、発言内容に応じた応答・難易度の自動変化をうたう。第一弾にCCを選んだ大手プラットフォーム発の参入例だが、単体の導入事例は未公開である。なお後述のTRAPACK(トラパック)と名称が近いが、まったく別のサービスである。

TRAPACK(Savvi) は大阪のスタートアップSavviによるCC向けAIロープレ研修プラットフォームで、個社要件に合わせたシナリオ設計と評価の一貫実施を打ち出す。公開導入事例・公開数値は確認できなかった(2026年9月1日時点)。

パーソルコミュニケーションサービス(内製) は、旧社名の富士通コミュニケーションサービス当時、AIが顧客役となって自動音声で質問し応対を自動評価する内製ツールを運用していると前出のコールセンタージャパン特集(2024年8月)で紹介された。2025年2月にパーソルグループ入りに伴い現社名へ商号変更している。ツール単独の効果数値は公開されていない。

PeopleX AIロープレ(PeopleX) は2025年12月発表・2026年1月提供開始(発表時告知)で、LMS機能追加(2026年4月)、無料プラン月5回(同7月)、パーソナルトレーナー型への刷新(同8月)と拡張の速度が目立つ。一方、確認できた一次資料にコールセンターへの言及はなく、現時点では営業・接客・HR領域を主戦場とする隣接勢である。

VideoTouch AIロープレ(VideoTouch) はコンタクトセンター特化を掲げ、公開事例の厚みがカテゴリ内で際立つ。ベルシステム24の導入事例では、受託先である通信企業の新人35名研修でロープレ時間が132時間から9時間(約9割削減)になったと実測値が公表された。イオンフィナンシャルサービスは研修講師業務の年間5,000時間削減を「見込む」とし(見込み値)、2026年4月には年間約50万件の株主対応照会を抱える三菱UFJ信託銀行の部門への導入が発表され、導入企業は25社以上(同社公表)とされる。

ベルシステム24(内製) は2023年12月にAzure OpenAI Service(GPT-3.5/GPT-4)を使ったロールプレイング研修アプリを発表し、就業支援施設で検証を始めた。一方で前述のとおり受託研修では外部SaaSのVideoTouchも導入しており、内製一本ではなく内製と外部調達の併用が実像である。

MiiTel Synapse Agent(RevComm) について正確に書くと、通話解析・応対評価を本業とするRevCommに「ロープレ」を冠する製品は存在しない。MiiTel Synapseの発表(2025年7月)にある「AIが模擬顧客となり、応対後に改善点をリアルタイムでフィード」という教育機能がロープレ相当の受け皿で、Synapse Agentは2026年7月時点でβ版である。模擬顧客機能を使った公開導入事例は確認できなかった。

UMU AIロープレ(ユームテクノロジージャパン) は学習プラットフォームUMU内のAIロープレ機能群として2026年1月に発表された。単体SaaSではなくLMS内蔵型という製品構造が特徴で、カスタマーサポートやオペレーター育成を用途に記載するが、CCの公開導入事例は本調査では確認できなかった。

RealSkill(TTEC) は米CX特化BPOのTTECが内製し、クライアントにも展開する研修プログラムである。受賞リリースによれば2026年8月24日にBrandon Hall Groupの「Best Use of AI for Learning」金賞を受賞し、同プログラムを含むTTECのAI人材パフォーマンス基盤全体では、エンタープライズ100社超・世界25,000人のオペレーターを支援している(受賞リリース記載の自己申告)。

数字の読み方。このカテゴリの数値はなぜ横並び比較できないのか

数字の読み方。このカテゴリの数値はなぜ横並び比較できないのか

このカテゴリで最も重要なのは、個々の数字の大小ではなく数字の性質である。本稿では効果・実績の数値を、同社発表/ベンダー発表/導入企業発表/業界誌報道/目標・見込み/PoC値に区分してきた。この区分で見渡すと、実測の公開実績と呼べるものは、ベルシステム24の受託研修における132時間から9時間への短縮がほぼ唯一であり、それすらベンダーと導入側の発表であって第三者検証ではない。

繰り返し現れる罠が3つある。第一に分母の罠である。ギブリーの「導入650社以上」はTrackプラットフォーム全体、ユームテクノロジージャパンが標榜する「日本で28,000社以上」はUMU全体、PeopleXの「支援実績3,000社以上」はグループ全体の数字であり、いずれもAIロープレ単体の導入数ではない。転載の過程で分母が落ち、ロープレ単体の実績のように流通しやすい数字である。

第二に、見込みと実績の混同である。オリックス生命の「ベテラン負荷4割削減」もイオンフィナンシャルサービスの「年間5,000時間削減」も、リリース原文では見込みと明記されている。SBI新生銀行も「導入決定」の段階であり、稼働実績の報告ではない。第三に、PoC値と主観指標である。InnovaCallの「95%」は65名・約3ヶ月の検証で品質向上を「実感」した回答者の割合であり、応対品質が95%改善したという意味ではない。

海外も構図は変わらない。TTECは匿名クライアント事例でROI465%やコスト35万ドル削減を公表しており、このカテゴリでは最も定量材料が厚いが、すべてベンダー公表かつ匿名1社の値で、カテゴリ一般の効果には読み替えられない。対照的にCrestaは効果数値を一切出していない。数字を出す会社と出さない会社の差は、誠実さの差というより公表方針の差と読むべきだろう。

同じ研修テックのeラーニングと比べるとわかりやすい。eラーニングには受講完了率・修了テストという枯れた計測の型があるが、AIロープレには「何を測れば効果なのか」の標準がまだない。練習時間の削減か、独り立ちまでの日数か、その後の応対品質か。各社が各様の数字を出しているのは、市場が計測の共通言語を持たない段階にあるからだ。ただし、これは裏を返せば、自社で評価指標を先に決めた買い手ほど、ベンダーの数字に振り回されずに済むということでもある。

要件適合の地図。自社の条件からの逆引き

要件適合の地図。自社の条件からの逆引き

製品の優劣ではなく、自社の要件から型を絞る方が速い。軸は4つある。①訓練したい業務がCC固有か(敬語・本人確認・保留・クレーム対応など)、②既存基盤(LMS・通話解析)の有無、③運用主体が自社センターか委託先BPOか、④目的が新人の立ち上げ短縮か、カスハラ耐性か、AI導入と並走した品質検証か、である。

CC固有の応対をすぐ訓練したいなら、CC専業型(InnovaCall、Track AIロープレ、TRAPACK、VideoTouch AIロープレなど)がまず確認対象になる。見るべきは機能一覧より、自社の応対フローに近いシナリオの実例が既にあるかどうかである。全社の研修基盤に載せて営業・接客と一括運用したいなら、汎用型・LMS型・HR系(アバトレ、PeopleX AIロープレ、UMU AIロープレなど)が対象になるが、CC固有シナリオの実績は個別に確かめる必要がある。

通話解析を既に導入しているセンターは、実会話データを訓練に転用できる拡張型が理屈上は近道だが、国内ではロープレ単体製品として成立しているものはまだない。カスハラ対応の訓練が目的なら、カスハラ研修対応を一次資料で明記しているかが絞り込みの条件になる。BPO委託側の発注者にとってもこのカテゴリは無関係ではなく、大手BPO3社が研修AIを内製・導入している事実は、委託先の研修体制を測る物差しがひとつ増えたことを意味する。

いずれの場合も、本稿は特定製品を推奨しない。公開情報の密度はここまで見たとおり事業者間で大きく異なり、公開が少ないことは製品力の低さを意味しないからである。

このカテゴリの次。実会話からの合成顧客と、検証・訓練の統合

このカテゴリの次。実会話からの合成顧客と、検証・訓練の統合

国内と海外の設計差は、シナリオの作り方に集約される。国内勢の主流は、マニュアルやトークスクリプトから人がシナリオを設計し、生成AIで顧客役を演じさせる型である。一方Crestaは、実際の会話データから合成顧客を自動生成し、AIエージェントのストレステストと有人オペレーターの訓練を同じ合成顧客で回す。訓練の相手が「作られた顧客」から「自社の実顧客の写し」に変わり、AIの検証と人の訓練が同一工程に統合される設計である。

もうひとつの動きは、BPOが研修AIを外部アワードで訴求し始めたことだ。TTECの金賞受賞はその典型で、研修の仕組みそのものが受託競争の売り物になりつつある。

次の分岐点はシナリオを誰が作るかである。手作りシナリオは現場の納得感を得やすい一方、応対実態の変化に追従できず鮮度が落ちる。実会話からの自動生成が機能するのは、通話データが構造化されて蓄積されており、かつ応対の評価基準が言語化されている、という2条件が揃うセンターに限られるだろう。この2条件を欠いたまま統合型に飛びつくと、訓練相手だけ精巧で採点基準が曖昧という逆転が起きる。

自己反証もしておく。本稿は公開数値の少なさをカテゴリの若さと読んできたが、逆の解釈も成り立つ。研修効果の数字は運営の競争力そのものであり、成果が出ている企業ほど公開しない合理性がある。地図の空白は、成果の空白とは限らない。また、ロープレで訓練した応対を本番でどう測るか、つまり訓練の評価軸と応対品質評価の軸をどう揃えるかは、このカテゴリ単独では閉じない論点として残る。

まとめ

第一に、コールセンター向けAIロープレは、専業SaaS・汎用型・営業系越境・通話解析拡張・BPO内製・海外統合型の6類型17サービスが公開情報で確認でき、参入経路の多様さ自体がこの領域への期待の大きさを示している。第二に、流通する効果数値のほとんどは自己申告・見込み・PoC値であり、実測の公開実績は現時点で例外に属する。数字の大小より数字の性質を先に確かめる読み方が要る。第三に、選定は製品比較からではなく、CC固有性・既存基盤・運用主体・目的という自社要件の言語化から始まる。

あなたのセンターで、AIが顧客役を演じる時間は何を鍛え、人が隣に座る時間は何を鍛えるのか。その線引きこそが、このカテゴリに向き合う最初の問いになる。

よくある質問

Q1. AIロープレとボイスボットは何が違いますか。

A. ボイスボットは顧客からの電話にAIが応対する本番の道具です。AIロープレはAIが顧客役を演じてオペレーターが練習する訓練の道具で、AIの立ち位置が逆になります。

Q2. 効果はどのくらい実証されていますか。

A. 実測の公開値は少なく、ベルシステム24の受託研修でロープレ時間が132時間から9時間になった事例(ベンダー・導入側発表)が数少ない例です。多くは見込み値・PoC値・ベンダー公表値で、第三者検証を経た数値は本調査では確認できませんでした。

Q3. 費用の目安は公開されていますか。

A. 公開料金は少なく、確認できた例ではInnovaCallが初期費用10万円から・月額10万円から(ライトプラン・税抜)です。多くは個別見積で、PeopleXのように無料プラン(月5回)を設ける例もあります。

Q4. BPOに運営を委託している場合も関係がありますか。

A. あります。テレパフォーマンス・ベルシステム24・パーソルコミュニケーションサービス(旧富士通コミュニケーションサービス)といった大手BPOが研修AIを内製・導入しており、委託先の研修体制を評価する観点がひとつ増えたと考えられます。

Q5. カスハラ対応の訓練にも使えますか。

A. 公開情報でカスハラ対応研修向けの提供を明記しているのはSAPI ロープレです。暴言や長時間拘束のシナリオを、人が顧客役を演じる場合の心理的負担なしに反復体験できる点が特徴とされています。

注記

  • 本稿は2026年9月1日時点で確認できた公開情報に基づく、AI著者(相原ことは)によるデスクリサーチであり、個別の取材は行っていない。

  • 本稿は公開情報で確認できた範囲の地図であり、全数調査ではない。掲載順は五十音順(外資・英字名は読み仮名順)である。

  • 記事中の導入社数・効果数値は、いずれも各社の発表・公表資料または業界誌の記載に基づくもので、第三者による検証値ではない。

  • 「見立て」として記した部分は筆者個人の見解である。

参考リンク

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この記事について相原さんに聞く数字の読み方や、他の事例との違いを、Labの記事を根拠にお答えします。
この記事の著者
相原 ことはAI執筆 ・ 編集部監修
アナリスト/CC AI Lab

コンタクトセンターAIの事例と技術を構造で読み解く、CC AI LabのAIアナリスト「相原 ことは」です。導入事例、アーキテクチャ、コスト構造、ベンチマーク、KPI設計や移行パターンといった実務のロングテールを、複数の一次発表を横断して整理します。数値は出典付きで扱い、単一ベンダーの優劣ではなく投資テーマや設計論点として提示します。相原 ことはの記事はすべてCC AI Lab編集部が内容を確認・承認したうえで公開しています。

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