本文へスキップ
tech公開更新約8分で読めます

【CC AIデイリー】ファンケルのチャットでメンテ1週間→1時間、OKI基盤に外部の生成AIエンジン、ASAPP採用は「L1が40%超」から(9月18日)

シェア

2026年9月17日に公表されたコンタクトセンター(コールセンター)/カスタマーサポート/カスタマーサクセス領域のAI関連ニュースから5件を取り上げる。国内2件・海外3件。この日目立ったのは、AIの性能そのものではなく、その手前にある運用工数・問い合わせ分類・手順書といった「整備の状態」を数字で示す発表だった。

ファンケルのチャットサポート、メンテナンス時間が最大1週間から1時間へ

ファンケルのチャットサポート、メンテナンス時間が最大1週間から1時間へ

モビルスは、フルパッケージ型AIチャットエージェント「MOBI BOT GenAI」をファンケルに導入したと発表した。「ファンケルオンライン」FAQサイトのチャットサポートと、LINE公式アカウント「ファンケル カスタマーサポート」のチャットサポートに適用し、2026年1月1日から本格運用している。2025年12月のPoCで検索精度・応答完了率の改善と有人転送の減少を確認したうえでの本番移行という経緯も公表された。

効果として、利用者の自己解決率が約30%向上、メンテナンス時間が最大1週間から1時間へ短縮したとしている(いずれも同社発表による。分母・計測期間は公表されていない)。自由文の質問でも意図を汲んで回答を返す点と、更新運用をFAQベースに寄せたことがメンテナンス短縮の理由としている。

現場への示唆としては、公表された2つの数字のうち後者、運用工数側の指標に注目したい。チャットボットが定着しない理由は精度よりメンテナンスが回らないことにある、という指摘は以前から現場で言われてきたもので、チャットボットから生成AIへ移行した企業が何を捨てたかという論点とも重なる。PoCから効果公表までの時系列を隠さず並べている点も、導入検討時の期間見積もりの材料になる。

OKIの次世代CCシステムに、外部スタートアップの生成AI基盤

サイオニックエーアイは、OKIの次世代コンタクトセンターシステム「CTstage AIコンシェルジュ」に生成AI基盤「STORM Platform」を技術提供パートナーとして供給し、開発に参画したと発表した。CTstage AIコンシェルジュは生成AIで問い合わせの一次振り分けと応対支援を自動化する製品で、2027年1月の提供開始予定、2029年度までの3年間で100セットの販売目標が示されている(いずれも計画値であり実績ではない)。

これまで製品発表として伝えられてきた同システムについて、生成AI部分の技術提供元が明らかになった格好である。

現場への示唆は調達側の論点にある。CC基盤ベンダーとAIエンジンベンダーが別会社になる構成では、これまで1社に閉じていた責任分界が分かれる。障害時の切り分け、エンジン差し替え時のデータ可搬性、SLAの保証主体を契約段階で整理しておく必要がある。機能表の比較では見えない列が増えるという点は、コールセンターシステムの比較が機能表で失敗する構造と同じ話である。

ASAPP採用の理由は「チケットの40%超がレベル1」

AIネイティブの請求プラットフォームであるTabsが、ASAPPのCustomer Experience Platform(CXP)を採用すると発表された。顧客向けAIエージェント「GenerativeAgent」を、顧客が作業している製品内にそのまま組み込む構成で、展開は今後数カ月内を予定している。現時点では稼働前の採用発表であり、成果数値は公表されていない。

採用理由として挙げられたのは、既存サポートチケットの40%超がレベル1の「操作方法」系の質問であり、AIによる解決に適しているという自社分析である。

現場への示唆は、この「40%超」という数字が出せる状態にあるかどうかに尽きる。問い合わせがレベル別・用件別に分類されていなければ、AIの適用範囲を導入前に見積もることも、導入後に効果を測ることもできない。AIの前段にある分類とナレッジの整備が実質のボトルネックになるという構図で、プロンプトとナレッジの運用が精度を左右するという論点と接続する。

Insider One、顧客理解と実行を接続する「Agent One」

顧客エンゲージメント基盤のInsider Oneが「Agent One」を発表した。顧客コンテキストを継続的に理解し、次に取るべき行動を判断して実行し、結果から学習して次の判断を改善する自己最適化型を掲げる。顧客理解を担うAgent One Audiencesと、実行を担うAgent One Teamsをネイティブに接続した二面構成としている。同社はGartner Peer Insightsでの評価やG2でのカテゴリリーダー認定を併記しているが、これらは同社発表による引用である。

自己最適化の実効性を示す数値は、今回の発表には含まれていない。

現場への示唆は構造のほうにある。顧客理解の層と実行の層を別プロダクトとして持ち、それを接続するという設計は、カスタマーサクセス領域でヘルススコア(理解)とプレイブック実行(アクション)が分断されている問題と同型である。マーケティング側の基盤ではあるが、CS組織が実行の自動化を設計する際の参照構造になりうる。

Stonly、SOPに沿って手続きを完遂する「Business Process Agents」

カスタマーサービス向けナレッジ/エージェンティックAI基盤のStonlyが「Business Process Agents(BPA)」を発表した。返金やアカウント変更のように手続きを伴う案件について、人間のサポートチームが使うのと同じナレッジとSOPに従い、メール・チャット・WhatsAppを横断して必要な情報を集め、実行し、解決まで完結させるとしている。同社のGuidesに定義された手順・分岐ロジック・ルール・必要情報・アクションをAIが辿る構造で、既存のKnowledge Agentsと組み合わせる設計である。導入社数や完遂率といった効果数値は公表されていない。

現場への示唆は前提条件のほうにある。AIがSOPに沿って手続きを完遂するということは、SOPが構造化されていない組織では動かないということでもある。返金・契約変更のような手続き系をAIに寄せる場合、手順書が文書とベテランの記憶に分散している状態をどう解消するかが先に来る。

本日の示唆

5件を通して見えるのは、「AIに何をさせるか」の議論が、その手前にある整備工程の話に集約されつつあることである。モビルスとファンケルの事例で効果として前に出たのは自己解決率ではなくメンテナンス時間、ASAPPとTabsで採用理由になったのは問い合わせ分類の数字、StonlyのBPAが前提にするのは構造化されたSOPだった。いずれもAIモデルの性能ではなく、社内のナレッジ・分類・手順書がどれだけ機械可読かという条件に帰着している。

もうひとつは国内CC市場の構造変化である。サイオニックエーアイがOKIのCTstageに生成AI基盤を供給する形は、「CC基盤ベンダー × AIエンジンベンダー」の分業が国内でも常態化しつつあることを示す。買う側にとっては、責任分界とデータ可搬性を契約段階で確認する必要が増えるということでもある。

よくある質問

Q. モビルスが公表した「自己解決率が約30%向上」はどう読めばよいですか。 A. 同社発表による数値で、分母(対象チャネル・対象期間)と計測方法は公表されていません。導入前後の比較値として参照し、自社に当てはめる際は同じ定義で測れるかを先に確認してください。

Q. OKIのCTstage AIコンシェルジュはすでに使えますか。 A. 提供開始は2027年1月の予定と公表されています。3年間で100セットという販売目標も計画値であり、実績ではありません。

Q. ASAPPを採用したTabsの導入効果はどこで確認できますか。 A. 現時点では稼働前の採用発表であり、効果数値は公表されていません。展開は今後数カ月内とされています。


注記: 本記事は2026年9月18日時点で確認できた公開情報にもとづく編集部によるニュースダイジェストである。各社の効果数値・目標値はいずれも発表主体によるものであり、第三者による検証を経たものではない。特定のベンダー・製品の優劣を評価する意図はない。


出典

この記事はCC AI Lab編集部名義のニュース記事です。AIが日次リサーチをもとに草稿を作成し、編集部が事実確認・承認のうえ公開しています。誤りを見つけた場合はお問い合わせフォームからご連絡ください。

確定版の速報を、会員に先行配布します。

無料の会員登録で、ベンチマーク速報レポートと隔週ニュースレターを受け取れます。

無料で会員登録する
この記事について相原さんに聞く数字の読み方や、他の事例との違いを、Labの記事を根拠にお答えします。
この記事の著者
編集部/CC AI Lab

CC AI Labの編集チームです。コンタクトセンターとカスタマーサクセスのAI活用について、特定ベンダーに依存しない立場で一次情報・検証記事・ベンチマークを制作します。AI著者(相馬 迅・相原 ことは)が執筆した記事の監修も担当し、公開前に事実と中立性を確認します。

この著者の記事一覧
シェア