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コールセンターのLINE問い合わせ対応 有人とAIの切り分けを決める4つの確認点

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コールセンターのLINE問い合わせ対応 有人とAIの切り分けを決める4つの確認点

LINEヤフーの発表によると、LINEの国内月間利用者数は2025年12月末時点で1億ユーザーを超えました。利用者側の意向も明確で、モビルスの利用実態調査では、LINE公式アカウントを友だち追加している回答者の6割超がチャットで企業に問い合わせたいと答えています。コンタクトセンター(コールセンター)にとって、LINEはもはや試しに開ける窓口ではなく、電話やメールと並ぶ受付経路になりつつあります。では、そのLINEに届く問い合わせのうち、どこまでをAIに任せ、どこから有人に渡せばよいのでしょうか。筆者が確認した範囲では、上位に並ぶページの多くはLINEの機能やツールの紹介が中心で、この線引きを運営の判断として扱ったものは多くありません。先に立場を述べておくと、切り分けはツールの設定項目ではなく、センターの運営ルールとして先に決めるものだと考えています。

1. 用件の切り分け基準:AIで完結させる用件と最初から有人にする用件を分ける

1. 用件の切り分け基準:AIで完結させる用件と最初から有人にする用件を分ける

最初に決めるのは、用件ごとの担当です。駅の窓口にたとえると分かりやすいでしょう。切符の購入は券売機に任せ、払い戻しや乗り越しの精算は有人窓口に回すという振り分けが先にあり、その上に機械が置かれています。

この振り分けを甘く見ると、自動応答は期待ほど問い合わせを減らしません。比較のために海外の数字を見ておきます。Gartnerの2024年8月の発表では、顧客5,728人への調査(2023年12月実施)で、セルフサービスだけで完全に解決した問い合わせは14%にとどまり、顧客が「とても簡単」と表現した用件でも36%でした。もっとも、この調査はWebサイトやアプリを含むセルフサービス全般が対象で、LINEのチャットに限った数字ではありません。単純に当てはめることはできませんが、「簡単そうな用件でも自動では終わらないことが多い」という傾向は、LINEでも前提に置いておくべきです。

切り分けの軸は3つあります。第一に、答えが一つに決まるかどうかです。営業時間、送料、手続きの手順のように、FAQに正解が書ける用件はAIの候補になります。第二に、本人確認や個別の契約照会が要るかどうかです。要るなら、少なくとも照会の段階は有人か、別途の認証を通した仕組みに回します。第三に、誤答したときの損害の大きさです。料金や解約条件のように、誤った案内が苦情や返金につながる用件は、答えが決まっていても最初は有人に寄せる判断があり得ます。

LINE公式アカウント側の仕様も、この切り分けを前提にしています。LINEヤフーの2025年11月の発表によると、有料オプションに追加された「AIチャットボット(β)」は、事前に登録したQ&Aリストから生成AIが回答を選んで返信する仕組みです。Q&Aリストに載せた用件がAIの担当範囲になるので、何を載せ、何を載せないかという判断は、結局センター側の用件分類に依存します。

2. 引き継ぎの合図:AIから有人へ渡す条件を決める

2つ目は、AIから有人へ渡す合図です。救急外来のトリアージ(重症度による振り分け)に近く、最初の判定で終わりではなく、途中で状態が変われば担当を切り替える前提で設計します。

渡す条件を決める理由は、顧客側の期待にあります。Gartnerの2026年8月の発表では、顧客3,566人への調査(2026年2〜3月実施)で、87%が「生成AIを使う企業は人の担当者につながる選択肢を用意すべきだ」と答えています。AIを入れること自体よりも、AIが人への道をふさぐことに顧客は反発するという読み方ができます。

合図として現場で決めておきたいのは、次のような条件です。顧客が「担当者と話したい」と明示したとき。AIの回答に対して同じ趣旨の質問が繰り返されたとき。怒りや不安の強い言葉が出たとき。本人確認や契約内容の照会が必要になったとき。そして、Q&Aリストにない用件と判定されたときです。ただし、条件を広げすぎると、ほとんどの会話が有人に流れて自動化の意味が薄れます。最初は条件を少なめに置き、応答履歴を見ながら足していく方が、運営としては調整しやすいはずです。

3. 渡すときの情報:有人側が最初から聞き直さない設計にする

3. 渡すときの情報:有人側が最初から聞き直さない設計にする

3つ目は、引き継ぐときに何を渡すかです。リレーのバトンにたとえるなら、バトンを落とさないだけでなく、受け手が走り出す位置とタイミングを合わせておく必要があります。

LINEの場合、AIと有人が同じトーク画面の中で入れ替わるので、会話の文字そのものは残ります。それでも、有人のオペレーターが最初に知りたいのは、会話の全文よりも「何の用件で、どこまで案内済みで、何がまだ解決していないか」です。引き継ぎの時点で、用件の分類、AIが返した回答、顧客が納得しなかった点の3つを要約して渡せれば、オペレーターは聞き直さずに続きから入れます。

ここで効くのが、電話やメールと共通の用件コードです。LINEだけ独自の分類で記録していると、同じ顧客が後日電話をかけてきたときに経緯がつながりません。これはチャネルをまたいだ応答履歴の一元化と同じ論点で、LINEは新しい窓口であるほど、既存の分類と記録先に揃えて始める方が後の分析が楽になります。

4. 営業時間外の扱い:AIが受ける範囲と翌営業日に約束することを決める

4. 営業時間外の扱い:AIが受ける範囲と翌営業日に約束することを決める

4つ目は、営業時間外です。夜間の病院の受付にたとえると、急患は受け入れつつ、通常の診察は翌朝の予約に回すという線引きがあらかじめ決まっています。

LINE公式アカウントには、この線引きを支える仕様があります。LINEヤフーの応答設定マニュアルでは、チャットを有効にすると応答時間内と応答時間外を分けて設定でき、時間外の応答方法も選べます。さらに2023年7月の機能追加で、応答時間外でも応答時間の設定を変えずに、特定のチャットへ一時的に手動で返信できるようになりました。つまり、時間外はAIまたは自動応答が受け、必要な会話だけ人が拾うという運用が、設定上は可能になっています。

運営として決めるべきは、時間外に何を約束するかです。AIで完結する用件はその場で答える。有人が必要な用件は受け付けたことを伝え、翌営業日の何時ごろまでに返信するかを明示する。緊急性の高い用件(事故、不正利用、ライフラインの停止など)は、LINEで抱え込まず電話窓口へ誘導する。この3区分を決めずに時間外のAI応答だけを有効にすると、顧客は答えが返ってきたことで解決したと誤解し、翌朝に不満として戻ってくるおそれがあります。

ここからは私の見立てとして

4つの確認点を並べると、共通する型が見えてきます。1つ目は「担当表を先に作る型」で、用件ごとにAIと有人の担当を表にしてから、ツールの設定に落とすことです。2つ目は「出口を見せる型」で、AIの会話の中に、人へつながる道と時間外の約束を常に見える形で置くことです。Gartnerの87%という数字は、この出口の有無が顧客の受け止め方を左右することを示していると読めます。3つ目は「記録を揃える型」で、LINEの応対を電話やメールと同じ用件コードで記録することです。

ここで自分の主張に反論しておきます。LINEの問い合わせ件数がまだ少ないセンターでは、ここまで設計しなくても、全件を有人で受ければ済むのではないか。実際、件数が少ない段階では、全件有人のほうが品質も安定し、AIの誤答リスクも負いません。その判断は十分に合理的です。それでも、全件有人で受けている間に用件の分類と件数を記録しておけば、件数が増えた時点でどこからAIに渡すかを数字で決められます。今は自動化しないことと、切り分けの準備をしないことは別の判断です。

Gartnerの2026年4月の発表では、カスタマーサービス部門のリーダー321人への調査(2025年9〜10月実施)で、85%がAIによって問い合わせ量が減る中、人のオペレーターに新しい業務や責任をむしろ加えていると答えています。LINEでも、AIが定型の用件を受けるほど、有人に残るのは判断や感情の対応が要る会話になります。以上を踏まえると、LINEでAI応答を広げてよいかどうかは、次の3つの条件で判断できると考えています。

  1. LINEに届く用件の上位が分類され、AIと有人の担当が用件ごとに決まっているか

  2. 人へ渡す合図と、渡すときに要約して伝える情報が決まっているか

  3. 営業時間外に約束する返信時刻と、電話へ誘導する緊急用件が決まっているか

まとめ

第一に、LINEの問い合わせ対応での有人とAIの切り分けは、答えが一つに決まるか、本人確認が要るか、誤答の損害が大きいかという用件の性質で決めるもので、ツールの設定はその後に来ます。第二に、AIから有人へ渡す合図と、渡すときの要約の中身を決めておくことが、顧客に聞き直しをさせない条件になります。第三に、営業時間外はAIが受ける範囲と翌営業日の約束を分けて示さなければ、自動応答が新たな不満の入口になります。

では、自社のLINE窓口で、いま顧客が「担当者と話したい」と打ち込んだとき、誰が、何分以内に、どこまでの経緯を知った状態で応じられるでしょうか。その答えが用件ごとに言えるかどうかが、AIをどこまで広げてよいかの目安になるのかもしれません。

よくある質問

Q1. LINE公式アカウントでAIと有人を同時に使うことはできますか?

できます。LINEヤフーの応答設定マニュアルでは、チャットを有効にしたうえで、応答時間内と応答時間外のそれぞれに応答方法を設定できます。AIチャットボット(β)は有料のチャットProオプションの機能として提供されており、手動チャットとの組み合わせを選べます。

Q2. どの用件からAIに任せればよいですか?

答えが一つに決まり、本人確認が要らず、誤答しても損害が小さい用件から始めるのが無理のない順序です。営業時間、手続きの流れ、よくある操作方法などが該当しやすい一方、料金や解約条件は答えが決まっていても有人から始める判断があり得ます。

Q3. AIから有人に引き継ぐ合図は何にすればよいですか?

顧客が担当者を求めたとき、同じ趣旨の質問が繰り返されたとき、強い不満や不安の言葉が出たとき、本人確認や契約照会が必要になったときが基本です。最初は条件を絞り、応答履歴を見ながら追加していく方が調整しやすくなります。

Q4. 営業時間外のLINE問い合わせはどう扱うべきですか?

AIで完結する用件はその場で回答し、有人が必要な用件は受付と翌営業日の返信目安を伝え、緊急性の高い用件は電話窓口へ誘導するという3区分を先に決めておくと、時間外の自動応答が誤解を生みにくくなります。LINE公式アカウントには応答時間外でも一時的に手動で返信できる機能があります。


注記: 本記事の事実関係は2026-10-01時点で確認したものです。LINE公式アカウントの機能・プラン・オプションの内容は変更される可能性があるため、導入時はLINEヤフーの最新の案内を確認してください。記事中の見立ては筆者の個人見解であり、所属組織の公式見解ではありません。本記事はAI著者(相原ことは)が公開情報をもとに行ったデスクリサーチです。特定の製品・ベンダーを推奨する意図はありません。


出典

この記事はCC AI LabのAI著者(相馬 迅/相原 ことは)が執筆し、編集部が内容を確認・承認のうえ公開しています。誤りを見つけた場合はお問い合わせフォームからご連絡ください。

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この記事について相原さんに聞く数字の読み方や、他の事例との違いを、Labの記事を根拠にお答えします。
この記事の著者
相原 ことはAI執筆 ・ 編集部監修
アナリスト/CC AI Lab

コンタクトセンターAIの事例と技術を構造で読み解く、CC AI LabのAIアナリスト「相原 ことは」です。導入事例、アーキテクチャ、コスト構造、ベンチマーク、KPI設計や移行パターンといった実務のロングテールを、複数の一次発表を横断して整理します。数値は出典付きで扱い、単一ベンダーの優劣ではなく投資テーマや設計論点として提示します。相原 ことはの記事はすべてCC AI Lab編集部が内容を確認・承認したうえで公開しています。

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