【2分でわかる】AIエージェントとチャットボットの違い(答えるAIから、手続きまでするAIへ)

問い合わせのチャットで、AIが予約の変更のような手続きまで済ませてくれることがあります。便利な一方で、「AIに手続きを任せて本当に大丈夫なのか」と気になる方も多いはずです。この記事では、チャットボット、生成AI、AIエージェントの3つを「段」として並べ、それぞれが何をするのか、どこに注意が要るのかを、動画の図と合わせて整理します。
▼動画で見る(約2分)
1段め: 決めた分岐で答えるチャットボット
従来のチャットボットは、あらかじめ決めておいた分岐に沿って、用意した答えを返す仕組みです。お客さまが選んだボタンや入力した言葉に応じて道筋が分かれ、その先に置いた答えを表示します。
この方式の強みは、想定どおりの質問には確実に同じ答えを返せることです。答えの中身は人が事前に書いたものなので、内容がぶれません。その反面、分岐の外れた聞き方をされると答えられません。同じことを尋ねていても、言い回しが想定と違えば、道筋にたどり着けないのです。

2段め: 資料を読んで答えを作る生成AI(RAGとハルシネーション)
次の段が生成AIです。社内の資料を探して読み、その内容をもとに、答えの文をその場で作ります。資料を参照して答えるこの方式は、RAGと呼ばれます。答えを一つずつ用意しておく必要がなく、言い回しが違っても、質問の意図をくみ取って応じられるのが特長です。
ただし注意点があります。生成AIは、資料に書かれていないことまで、もっともらしく答えてしまうことがあります。これがハルシネーションです。文章が自然なぶん、読む側は誤りに気づきにくくなります。参照する資料をどう整えるかが、答えの確かさを左右します。

3段め: 手続きまで済ませるAIエージェント
3つめの段が、AIエージェントです。答えるだけでなく、手続きまで自分で行うAIを指します。
たとえば予約の変更や登録内容の更新など、これまでならお客さまが別の画面で操作したり、オペレーターが引き継いで処理したりしていた作業です。AIエージェントは社内のシステムを操作して、こうした用件を最後まで済ませます。「調べ方を教えてくれるAI」から「代わりにやってくれるAI」へ、役割が一段広がるわけです。お客さまにとっては、答えを聞いたあとに自分で手続きをする手間が減ります。

段が上がるほど、柵(ガードレール)が要る
できることが増えるほど、間違えたときの影響も大きくなります。答えを誤っただけなら訂正すれば済むこともありますが、手続きを誤ると、あとから取り消しにくい場合があります。
そこで各段に、ガードレールと呼ぶ柵を置きます。まず、AIが答えてよい範囲を決めます。そのうえで、取り消しにくい手続きの前には、人の承認をはさみます。AIにすべてを任せるか、まったく任せないかの二択ではなく、段ごとに止める場所を設けるという考え方です。

海外であった決定: ボットもサイトの一部
AIの答えの責任を、企業はどこまで負うのでしょうか。海外では、チャットボットが誤った案内をした件について、ボットもその企業のサイトの一部だとして、企業に支払いを命じた審判所の決定があります。
ボットが言ったことだから会社は関係ない、という理屈は通らなかったということです。チャットボットの段でもこうした判断が出ている以上、手続きまで担うAIエージェントでは、なおさら慎重な設計が求められます。

お客さまから見れば、AIの答えも会社の答え
お客さまから見れば、AIの答えも会社の答えです。チャットボットでも生成AIでもAIエージェントでも、この点は変わりません。お客さまが尋ねている相手は、画面の向こうの仕組みではなく会社です。だからこそ、AIが答えた内容や済ませた手続きについても、会社として責任を持てる形で仕組みを組む必要があります。

AIが入るところ
AIエージェントの時代に問われるのは、どこまでAIに任せ、どこから人が確かめるかという、権限の設計です。答えるだけの段なら答えてよい範囲を、手続きまで行う段ならどの手続きの前に人の承認をはさむかを、あらかじめ決めておく。AIを入れる検討は、何ができるかと同時に、どこで止めるかを決める作業でもあります。
用語メモ
- チャットボット: 決めておいた分岐に沿って、用意した答えを返す仕組み。想定どおりの質問には確実だが、想定外の聞き方には答えられない。
- 生成AI: 大規模言語モデルを使い、答えの文をその場で作るAI。言い回しが違っても意図をくみ取れる。
- RAG: 社内の資料を探して参照し、その内容をもとに答えを作る方式。
- ハルシネーション: 資料にないことまで、AIがもっともらしく答えてしまうこと。
- AIエージェント: 答えるだけでなく、社内のシステムを操作して手続きまで自分で行うAI。
- ガードレール: AIが答えてよい範囲を決めるなど、間違いを止めるために置く柵。
- 人の承認: 取り消しにくい手続きの前に、人が確かめてから進めるしくみ。



