【CC AIデイリー】DNPコアライズが実証KPIに「引き継ぎの精度」を入れた、RightTouchは生保アクセラで入電前の領域へ(9月19日)

2026年9月18日から19日にかけて公表されたコンタクトセンター(コールセンター)/カスタマーサポート/カスタマーサクセス領域のAI関連ニュースから、国内2件を取り上げる。海外はこの24時間に新規の一次発表を確認できなかった。9月2日のGenesys Xperience、9月9日から14日にかけてのContact Center Summit系と大型イベントが続いた直後にあたり、発表の端境期とみられる。
国内の2件はどちらも「AIに何をさせるか」ではなく、その周辺の設計に関する発表だった。一方は評価指標の置き方、もう一方は打ち手を置く場所である。
DNPコアライズとHmcomm、hontoのコールセンター窓口でAIと有人の役割分担を実証

大日本印刷グループのDNPコアライズは、音声処理AIのHmcommと連携し、AIと有人オペレーターが連携する「ハイブリッド型コンタクトセンター」の実証を2026年10月に開始すると発表した。対象は、ハイブリッド型総合書店「honto」のコンタクトセンターに寄せられる生活者からの問い合わせである。
実証では、音声対話型AIエージェントが定型的な問い合わせに応対し、個別の判断などが必要な場合には、それまでの対話情報を有人オペレーターに引き継ぐ。DNPの発表によれば、評価するのはAIによる応対の完結率と正答率、そして有人オペレーターへ引き継いだ内容の精度の3点で、応対品質の向上と業務効率化を両立させるためのAIと人の適切な役割分担、および実運用上の課題を検証するとしている。DNPコアライズは実証結果を踏まえて音声対話型AIエージェントの開発を進め、2027年4月のサービス提供を目指す(いずれも同社発表による)。
現場への示唆は、評価軸の3点目にある。AIボイスボットの国内発表では一次受付率や自動化率が前に出ることが多いが、顧客体験が崩れるのはAIが応対できなかった場面そのものではなく、引き継ぎの断面で顧客が同じ説明を繰り返したときである。その断面を最初から測定対象に置いている点は、AIから人へ渡す設計とエスカレーションの遅れで扱った論点と重なる。なお完結率・正答率の目標値は公表されておらず、現時点で示されているのは実証の設計までである。
RightTouch、かんぽ生命とアフラックのアクセラレーションプログラムに採択

エンタープライズ向けAIコンタクトセンター基盤を提供するRightTouchは、かんぽ生命保険とアフラック生命保険が共催する「かんぽ生命 - アフラック Acceleration Program 2026」において、採択企業3社の1社として選定されたと発表した。同プログラムは両社が2026年4月に共催を公表したもので、ヘルスケア、顧客体験価値(CX)向上、マーケティング・セールス、AI・DX、人的資本の5領域と自由提案枠でスタートアップを募集していた。
RightTouchが担当するのは、同社のプラットフォーム「QANT」のうち「QANT Web」によるWebプロアクティブサポートである。Webサイトやアプリ上で顧客が困りごとに直面したタイミングを自動で検知し、その場で最適なサポートコンテンツを提示することで、問い合わせ前の自己解決を促進する(同社発表による)。
注目したいのは、呼量対策の打ち手が置かれた場所である。保険は手続きが複雑で、入電が構造的に減りにくい業種にあたる。そこで選ばれたのがIVRの改修でもボイスボットでもなく、電話に到達する前のWeb側だった。自己解決率の上限を決めるのは技術ではないという論点はコールセンターの自己解決率設計で扱っており、そこでの整理と合わせて読むと、Web側の事前解決が呼量に効く条件が見えてくる。かんぽ生命は2026年8月にSalesforceとの包括契約も公表している。ただし今回の発表は採択の事実までで、導入規模・効果数値・実施時期は公表されていない。
本日の示唆
第一に、国内では「AIと人の役割分担」の設計が競争点になりつつあり、それを測る指標に引き継ぎ品質が入り始めている。自動化率だけでは現場の納得が得られない段階に入ったと読める。ベンダー選定の場面では、自動化できる割合より、引き継ぎの断面をどう計測するかを先に確認する順番が現実的だろう。
第二に、呼量対策の主戦場が電話の入口からその手前へ動いている。コールセンターの予算がWebサポート側に配分される導線ができつつあり、音声チャネルだけを見ていると打ち手の全体像を取り逃す。
第三に、実証からサービス提供までの時間である。DNPコアライズは実証開始が2026年10月、サービス提供目標が2027年4月と、約半年を置いている。導入検討の期間見積もりを立てる際の一つの目安になる。
よくある質問
Q. AIと有人のハイブリッド運用で、最初に決めるべき指標は何ですか。 A. 公表事例で共通して置かれているのは、AI応対の完結率と正答率です。DNPコアライズの実証ではこれに加えて、有人オペレーターへ引き継いだ内容の精度が評価対象に入っています。自動化の割合だけを見ると、引き継ぎ後に顧客が説明をやり直す負担が数字に表れません。
Q. 完結率と一次解決率は同じものですか。 A. 同じではありません。完結率はAIが応対を最後まで終えた割合を指すのが一般的で、一次解決率は最初の接触で顧客の用件が解決した割合を指します。分母と定義が異なるため、公表数値を比較する際は、どちらの指標か、計測期間と除外条件は何かを確認する必要があります。本記事で紹介した実証については、これらの目標値は公表されていません。
Q. 呼量を減らす施策は、電話側とWeb側のどちらから着手すべきですか。 A. 一般解はありません。用件の定型性が高く、顧客がWeb上で手続きを完了できる業務であればWeb側の事前解決が効きやすく、本人確認や個別判断を伴う用件が多ければ電話側の設計が先になります。RightTouchの事例は前者に寄った選択と読めますが、導入規模や効果は公表されていないため、成果として扱える段階ではありません。
注記
本記事は2026年9月19日時点で公表されている情報にもとづく。数値はいずれも各社発表によるもので、独立した検証は行っていない。DNPコアライズの実証は2026年10月開始予定、RightTouchの採択は発表時点で導入規模・効果数値・実施時期が非公表である。
出典
クラウド Watch「DNPコアライズとHmcomm、AIと有人対応のハイブリッド型コンタクトセンター実証を開始」(2026-09-18)
大日本印刷「DNPコアライズ AIと有人オペレーターが連携するハイブリッド型コンタクトセンターの実証開始」(2026-09-18)
Hmcomm「DNPコアライズと連携し、ハイブリッド型コンタクトセンターの実証を開始」(2026-09-18)
RightTouch「かんぽ生命 - アフラック Acceleration Program 2026 に採択」(2026-09-19)
アフラック生命保険「かんぽ生命 - アフラック Acceleration Program 2026 の共催について」(2026-04-10)
この記事はCC AI Lab編集部名義のニュース記事です。AIが日次リサーチをもとに草稿を作成し、編集部が事実確認・承認のうえ公開しています。誤りを見つけた場合はお問い合わせフォームからご連絡ください。
CC AI Labの編集チームです。コンタクトセンターとカスタマーサクセスのAI活用について、特定ベンダーに依存しない立場で一次情報・検証記事・ベンチマークを制作します。AI著者(相馬 迅・相原 ことは)が執筆した記事の監修も担当し、公開前に事実と中立性を確認します。
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