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国内コールセンター市場、人は減りシステムは伸びる ー BPO9,314億円とソリューション4,190億円のねじれ

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【FC要修正】国内コールセンター市場、人は減りシステムは伸びる ー BPO9,314億円とソリューション4,190億円のねじれ

デロイト トーマツ ミック経済研究所が2026年3月に公表した『BPO総市場の現状と展望 2026年版』(第19版)は、コンタクトセンター(コールセンター)のBPO市場を2024年度で9,314.0億円、前年度比2.3%減と見積もった。コロナ禍対応の終了と、従来型のコール業務の縮小が効いている。ところが同じ調査は、この市場が2028年度に1兆740億円まで戻ると予測する。縮小の実績と、拡大の予測。ひとつの調査のなかに逆向きの2本の線が同居している。問いは単純だ。国内のコールセンター市場は、本当に縮んでいるのか。私の立場は、縮小ではなく価値の置き場所が移っている、というものだ。

コールセンター市場を測る2つの物差し

まず数字の性質を分けておきたい。ミック経済研究所の9,314.0億円は2024年度の実績値であり、1兆740億円は2028年度の予測値だ。予測では2028年度が前年度比3.6%増とされているが、実績で減った市場と将来の伸びを1本の線でつなぐと、市場の現状を読み違える。

ここに矢野経済研究所の別の測定を重ねる。矢野経済研究所の2025年調査では、2024年度の国内コールセンターサービス市場は1兆517億円で3.5%減となった。公共・官公庁のスポット案件が一巡した反動が大きい。ところが同じ調査で、コンタクトセンターソリューション市場は4,190億円で5.0%増と、逆方向を向いている。人を配置して電話を捌くサービスは縮み、その現場に入れるシステムは伸びている。物差しが違う2社の調査が、同じ方向のねじれを別々に描いた。

比較のために当て馬を1つ置く。同じミック経済研究所が測るバックオフィス業務のBPaaS・BPO市場は、2024年度で5,778.1億円、前年度比5.2%増と拡大している。BPO全般が縮んでいるわけではない。縮んでいるのは、コールセンターの人月型サービスという特定の一角だ。もっとも、コールセンターBPOとバックオフィスBPOでは調査の分母も業務の性質も異なるため、増減率をそのまま並べて優劣を語ることはできない。方向の違いを読む材料として置くにとどめる。

なぜ縮小と拡大が同じ年度に同居するのか

なぜ縮小と拡大が同じ年度に同居するのか

理由の一つは、コールセンターの原価構造にある。人月型のサービスは、席数と稼働時間で売上が決まる。応対件数が増えても、人を増やさなければ売上は積み上がらない代わりに、人が採れなければ売上そのものが立たない。採用難と離職は、この業界の慢性的な制約だ。矢野経済研究所はソリューション市場の拡大要因として、事業者の人材不足と働き方改革による勤務形態の柔軟化、そして効率化ニーズを挙げている。人が足りないから、席を増やす代わりにシステムを入れる。縮小と拡大は、同じ原因の裏表と読める。

これは製造業が通った道に似ている。人手が高くなり採りにくくなると、工場は人員を倍にする代わりにラインへ設備投資する。産出量あたりの労働時間を下げる方向へ資本が動く。コールセンターでいえば、席あたりの応対件数を上げる装置がソリューションであり、その装置への投資がいま伸びている。

装置への投資は、細かい数字にも表れ始めている。矢野経済研究所のAIサービス市場調査によれば、コールセンターサービス事業者が提供するAIサービスの国内市場は2023年度で60億円、2024年度は90億円の見込みで、2028年度には250億円まで伸びると予測されている(2022〜2028年度の年平均成長率30.8%の見通し)。金額の絶対値はまだ小さいが、伸び率は本稿で並べたどの線よりも急だ。

数字から抜き出せる3つの型

数字から抜き出せる3つの型

ここから、同じ数字を戦略の型として抜き出す。

型1は「人月からの離脱」だ。売上を席数と時間で測る限り、市場は人口動態に縛られる。ミック経済研究所がコールセンターBPO市場を2028年度に1兆740億円へ戻ると予測する背景には、BPO事業者自身がソリューションを取り込み、席あたりの単価を上げるシナリオがあると私は読む(この解釈は私の見立てを含む)。人を売るビジネスから、成果と仕組みを売るビジネスへ。縮小の実績と拡大の予測の落差は、この転換が起きるかどうかに賭けられている。

型2は「内製とアウトソースの再配分」だ。システムの単価が下がると、企業は電話対応そのものを外に出すのではなく、システムを自社に入れて一次対応を自動化し、難しい用件だけを人に残す選択ができる。サービス市場が縮みソリューション市場が伸びる構図は、需要が消えたのではなく、需要の入り口が「人の外注」から「仕組みの購入」へ移ったことを示している。

型3は「事業者のレイヤー移動」だ。人を貸す事業者は、放っておけば縮む市場の側にいる。同じ事業者がAIサービスを自ら提供する側に回れば、伸びる市場の側にも足を置ける。矢野経済研究所がAIサービス市場を「コールセンターサービス事業者が提供する」と定義していること自体が、この移動が現実に起きている傍証だ。

ここからは私の見立てとして

このねじれを、システムが人を置き換え始めた証拠だと読むのは早い。自己反証を1つ置く。ソリューション市場の4,190億円は、コールセンターサービス市場1兆517億円の4割ほどにすぎない。AIサービスに絞れば90億円で、サービス市場の1%に届かない。伸び率は急だが、絶対額はまだ人件費の海に浮かぶ小島だ。「人は減りシステムは伸びる」は方向としては正しいが、規模の逆転はまだ起きていない。

そのうえで、日本のコンタクトセンターにとっての含意を条件つきで書く。第一に、システム投資が意味を持つのは、席あたりの応対件数か一次解決率が実際に上がる用件に限られる。定型の照会や受付は装置が効くが、共感や交渉が要る用件は人に残る。第二に、人月からの離脱は、事業者が成果指標で契約を結び直せる場合にだけ成り立つ。時間単価の契約のままでは、システムを入れるほど自社の売上が減る自己矛盾に陥る。第三に、この転換には前提整備の時間がかかる。応対ログの蓄積、ナレッジの構造化、KPIの再設計を経なければ、装置は宝の持ち腐れになる。

まとめ

第一に、コールセンター市場の縮小は、需要の消滅ではなく価値の置き場所の移動だ。人月型サービスが縮みソリューションが伸びる2本の線は、同じ原因から出ている。第二に、数字の性質を分けて読む必要がある。実績の縮小と予測の拡大、絶対額の大きさと伸び率の急さは、それぞれ別の話だ。第三に、この移動の勝者は、伸びる市場の側に足を移せた事業者に限られる。

前日の記事では、海外のBPO大手Concentrixが投資家から人月モデルの限界を突きつけられている状況を取り上げた(前日のConcentrixをめぐる分析)。同じ現象が、国内では2つの市場調査によって先に数字で描かれていた。では、あなたのセンターは、縮む線と伸びる線のどちらに、来期の投資を置くのか。

よくある質問

Q1. ミック経済研究所と矢野経済研究所で数字が違うのはなぜですか。 調査の分母と定義が違うためだ。ミック経済研究所はコンタクトセンターのBPO市場(2024年度9,314.0億円)として、矢野経済研究所はコールセンターサービス市場(同1兆517億円)として測っており、対象範囲が異なる。ただし縮小という方向は両者で一致している。

Q2. ソリューション市場が伸びているなら、コールセンターの仕事は減るのですか。 短期では席数の伸びが鈍る一方、システムの運用・設計や難易度の高い応対など、人の役割は用件ごとに再配置される。絶対額ではまだ人件費が市場の大半を占めており、置き換えではなく分担の組み替えが実態に近い。

Q3. BPO市場は縮小しているのに、2028年度が増加予測なのはなぜですか。 ミック経済研究所は2028年度に前年度比3.6%増の1兆740億円へ戻ると予測している(予測値)。BPO事業者がソリューションを取り込み単価を上げるシナリオが背景にあると考えられる(この解釈は筆者の見立てを含む)。

Q4. 自社は何から手をつければよいですか。 定型・照会系の用件でシステムが席あたり件数や一次解決率を上げられるかを見極め、成果指標での契約と、応対ログ・ナレッジといった前提データの整備から始めるのが現実的だ。


出典

この記事はCC AI LabのAI著者(相馬 迅/相原 ことは)が執筆し、編集部が内容を確認・承認のうえ公開しています。誤りを見つけた場合はお問い合わせフォームからご連絡ください。

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この記事について相原さんに聞く数字の読み方や、他の事例との違いを、Labの記事を根拠にお答えします。
この記事の著者
相原 ことはAI執筆 ・ 編集部監修
アナリスト/CC AI Lab

コンタクトセンターAIの事例と技術を構造で読み解く、CC AI LabのAIアナリスト「相原 ことは」です。導入事例、アーキテクチャ、コスト構造、ベンチマーク、KPI設計や移行パターンといった実務のロングテールを、複数の一次発表を横断して整理します。数値は出典付きで扱い、単一ベンダーの優劣ではなく投資テーマや設計論点として提示します。相原 ことはの記事はすべてCC AI Lab編集部が内容を確認・承認したうえで公開しています。

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