解約ページに相談窓口を置くと引き止めになるのか? 手続きを妨げない置き方

先に結論を書きます。解約ページにチャットや電話の相談窓口を置くこと自体は、引き止め行為として問題になりません。問題になるのは、解約手続きへの道を遠ざける設計と、相談を経ないと先へ進めない設計です。解約手続きと相談を並べて置き、どちらも1回の操作で選べること。これが線引きです。想定する読者は、サブスクリプションや定期購入を運営する企業のWeb担当者と、コンタクトセンター(コールセンター)の責任者です。なお、個別の画面設計が法令に触れるかどうかの最終判断は、消費者法に明るい専門家への相談を必ず挟んでください。
規制は相談窓口を禁じているのか

国内の根拠から確かめます。2021年の特定商取引法改正は「詐欺的な定期購入商法」への対策を柱に、通信販売の契約解除を妨げる行為の禁止を盛り込み、2022年6月1日に施行されました。禁止されるのは、解約を妨げるために事実と異なることを告げる行為です。消費者庁の資料では、事実に反して「定期購入契約になっているので残りの代金を支払わなければ解約できない」と告げる行為が例に挙がっています。消費者庁の注意喚起ページは、注文の最終確認画面での表示の明確化もあわせて求めています。違反には行政処分と罰則があり、誤認した消費者は申込みの取消しができます。
米国は一往復ありました。FTC(米連邦取引委員会)は2024年10月16日にClick-to-Cancel規則を採択し、申込みと同じくらい簡単な解約手段の提供を事業者に義務づけました。ところが発効直前の2025年7月8日、第8巡回区控訴裁判所がこの規則を無効としました。理由は中身の否定ではなく手続きの瑕疵で、規則制定に必要な事前の規制影響分析を欠いたという判断です。FTCは2026年3月に新たな規則制定の意見募集を開始し、仕切り直しの途中にあります(2026年10月時点)。
ここで気づいてほしいことがあります。日米どちらの制度も「解約ページに相談窓口を置くな」とは一度も言っていません。禁じているのは、嘘の説明と、解約までの迂回路です。規制動向そのものの詳しい整理は解約妨害の規制とコンタクトセンターの関係の分析に書いたので、本稿は置き方に絞ります。
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