ダイキン工業は、なぜコールセンターで夏の繁忙期を乗り切れたのか

ダイキン工業のコンタクトセンターには年間約180万件の電話が入り、その約半分が6〜8月の3か月に集中します。2024年の夏は猛暑で修理依頼が過去10年で最多の約40万件を超えました。人員は繁忙期600名に対して閑散期300名。予測して増員する従来のやり方は、この山の前で限界に達していました。
それでも同社は夏を乗り切っています。なぜか。この事例の答えは「高性能なAIを入れたから」ではありません。電話に来る前にどれだけ減らすか、残った電話のどれから自動化するか、という順番の設計にあります。空調と関係のない業種でも、季節や販促で呼量が跳ねるセンターなら持ち帰れる内容です。
公表されている事実の時系列

同社の取り組みを、公表時期と数値の性質がわかる形で並べます。
2016年〜 デジタルチャネルの本格化に着手。当時の自動化比率は約10%(同社発表)
2018年1月 AIを使った故障診断サービスをサポートサイトで開始。選択肢やフリーワードで症状を入れると対処法と修理の要否を案内する(同社リリース)
〜2024年 AI故障診断で「修理が必要か」「費用はいくらか」への納得を先に作ってからWeb受付に送る設計へ変更。インターネット受付の完了率は約70%に到達し、入電は取り組み前に比べ約3割減った。ただしこの3割は日本電信電話ユーザ協会の事例紹介で同社が説明しているとおり、AIチャット単独ではなくFAXのEDI化や日程調整サイトの構築を含む複合効果(同社発表)
2023年6月〜 音声側の自動化に着手。最初の対象は修理受付の「キャンセル」(同社発表・トゥモロー・ネットの発表)
2024年6〜8月 ボイスボット(トゥモロー・ネットのCX-Bot。2026年7月からvoice Assist)が約3万件を対応し、応答率は3%向上(ベンダー事例ページ掲載の実績値)
用件別のAI対応完了率 不具合相談96%、修理受付60%(開始当初は約30%)、キャンセル・日程変更約80%(同社発表。分母はAIが受けた件数)
並びを見ると、音声AIの導入は2023年で、チャネル設計の着手から7年後です。順番が逆ではないことが、この事例の読みどころになります。
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