コールセンターのチャット同時対応数の決め方、増やす前の4つの確認点

チャット窓口の同時対応数は、製品が許す上限や他社の目安から決めるものではありません。応対中の時間と顧客の返信待ちの時間を分けて測り、並行数を上げたときに誤案内と遅延がどう動くかを見てから決める。この順番が逆になると、効率の数字だけが上がって品質が静かに落ちます。
本稿は、チャット窓口のSVとWFM(ワークフォースマネジメント)担当に向けて、同時対応数を実務に合う条件で決めるための確認点を4つに分けて書きます。一律の「最適な同時数」は示しません。それは用件の中身と測った時間からしか出ないからです。呼量予測の話はWFMのAI予測、電話をAI化した後の要員計画はチャネル構成と人員配置の設計で書いたので、本稿は並行作業そのものの設計に絞ります。
1. 応対中と顧客返信待ちをなぜ分けるのか

チャットが電話と決定的に違うのは、1件の対応時間の中に「自分が手を動かしている時間」と「顧客の返信を待っている時間」が混ざっていることです。並行対応が成立するのは後者があるからで、同時対応数の設計はこの2つを分けて測るところから始まります。
分けずに「1件あたり平均20分」とだけ測ると、20分の中身が見えません。返信待ちが15分ある定型用件なら3件並行できますが、手を動かし続ける複雑用件の20分は実質1件分です。コンロで例えると、煮込み料理は火にかけて待てるので口数を増やせますが、炒め物は付きっきりです。鍋の数だけ数えて口数を決めると焦がします。
製品側もこの構造を前提に設計されています。例えばAmazon Connectのルーティング設定では、チャットの同時対応数をエージェントごとのルーティングプロファイルで1〜10件の範囲で設定でき、チャネル横断の同時対応についても「チャット対応中は電話を受けない」か「他チャネルも並行して受ける」かを選べます。つまり同時対応数は製品仕様上は10まで上げられますが、上げられることと上げてよいことは別です。設定項目の存在は、そこを自社で決めろという意味です。
まず1週間、応対中時間と返信待ち時間を用件タグ付きで記録する。設計はそこから。
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