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コールセンター外注の費用は料金体系で決まる 見積もりを年間の1件単価で比べる

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コールセンター外注の費用は料金体系で決まる 見積もりを年間の1件単価で比べる

コールセンターを外注(委託)する費用は、単価の安さより「何に対して払うか」で決まります。席(回線)、時間、件数、成果のどれを単位にするかで、呼量が増えたり減ったりしたときに誰が損をかぶるかが変わり、同じ入電数でも年間の総額が数百万円単位で動くからです。見積もりを比べるときは、各社の単価を並べるのをやめ、自社の繁閑パターンで1年分の総額を出し、年間の1件あたり単価に直してください。

コールセンター外注の4つの料金体系

コールセンター外注の4つの料金体系

料金体系は大きく4つに分かれます。違いは「何を数えて払うか」と「呼量の読み違いを誰が負うか」です。

料金体系 何に払うか 呼量が読みより減ったとき 呼量が読みより増えたとき 向く業務
席単価(月額) 席・回線の数×期間 発注者が空き席の分を払う 席が足りず応答率が落ちる。増席は追加費用 呼量が安定した受付・問い合わせ窓口
時間単価 オペレーターの稼働時間 事前に時間を減らせれば下がる 時間を足せば対応できるが、手配に日数がかかる 繁閑はあるが予測できる業務
件数単価 応対した件数 払う額も減る 払う額は増えるが、人の手配は委託先の責任 呼量が読めない業務、立ち上げ直後
成果報酬 獲得・解決などの成果 成果が出なければ払わない 成果に応じて増える(上限を置く) 販売・督促など成果を定義しやすい業務

公的機関の調達を見ると、席型の考え方が分かりやすく出ています。千葉市の高齢者予防接種コールセンターの仕様書は、2026年9月24日から10月30日までを4回線、11月2日から12月28日までを2回線と、時期ごとに回線数を決め、その回線すべてに常に受電できる人数を置くよう求めています。繁閑を発注者が先に読み、席の数で買う形です。読みが外れたときの負担は発注者に残ります。

件数単価はその逆です。呼量が増えても減っても1件あたりの額は変わらず、人を足すか減らすかは委託先が決めます。そのぶん委託先は読み違いの損を見込んで単価を決めるので、同じ業務なら件数単価は席や時間で払うより割高に出やすいと見ています。

席単価と時間単価には、契約の形の論点も1つあります。厚生労働省の37号告示に関する疑義応答集は、問8で、作業量に応じて出来高で精算することだけをもって偽装請負と判断されるものではないとしています。一方で、仕事の完成を目的とせず、業務に費やす労働力(労働者の人数)について受発注し、投入した労働力の単価で料金を精算している場合は、単なる労働力の提供にすぎず偽装請負と判断されることになる、とも書いています。人数や時間を単位に払う業務委託を結ぶなら、人数や時間を発注者が指定するのか、委託先が業務量から自分で決めるのかを、契約の形(業務委託か派遣か)とあわせて確認してください。個々の契約がこれにあたるかの判断は、弁護士など専門家に相談してください。

成果報酬は、何を成果と数えるかの定義がすべてです。公共分野の成果連動の契約を整理した内閣府の成果連動型民間委託(PFS)共通的ガイドラインは、成果にかかわらず払う固定支払額と、成果に連動する支払額、支払額が最大になる上限値を組み合わせる設計を示しています。先行事例として載っている3件では、総支払額に占める成果連動の割合が100%、69.2%、25.6%と分かれていました。コールセンターの成果報酬も、固定部分と成果部分の比率、上限、成果の数え方(重複・取消の扱い)を見積もりの段階で決めておくと、後でもめません。AI製品の成果課金の分母の見方は成果課金の料金モデルを分解した記事で詳しく扱っています。

見積もりの前に委託先へ渡す前提

見積もりの単価は、発注者が渡した前提の精度以上には正確になりません。各社に同じ前提を同じ形で渡さないと、出てきた数字は比べられないのです。

渡す前提は少なくとも次のとおりです。

  • 月別の入電数(過去1〜2年の実績。無ければ想定と、その根拠)
  • 1件あたりの処理時間(通話と後処理を分けて)
  • 受付時間と曜日、時間帯別の偏り
  • ピークが来る時期と、そのときの1日の件数
  • 目標にする応答率やサービスレベル、その計り方
  • 対応するチャネル(電話のみか、メール・チャットもあるか)
  • 委託先に渡せる資料(FAQ・マニュアルの量)

公共調達の質問回答を読むと、委託先が見積もりのために何を知りたがるかがよく分かります。環境省のコールセンター運営委託の入札説明書に関する質問回答では、入札を考える事業者が、入電ピークの時期と日数、応答率目標を3つの窓口の合算で見るのか窓口ごとに見るのか、初期研修の工数を見積もるためのFAQの件数を尋ねています。環境省の回答は、ピークは11月から2月に増える傾向、応答率目標(月間95%程度)は窓口ごとに達成が必要、というものでした。応答率を窓口ごとに求めるか合算で求めるかで、必要な人数は変わります。委託先が見積もりで一番気にするのはこうした条件で、ここが曖昧な依頼は、各社が自分に都合のよい前提で単価を出すことになります。

必要な席数や人数を自社で一度計算しておくと、見積もりの人数が妥当かを自分で確かめられます。計算の方法は必要人数を出すアーラン式の記事にまとめています。

見積もりを年間の1件単価で比べる計算例

見積もりを年間の1件単価で比べる計算例

ここからの数字はすべて説明のための仮の数字です。相場ではありません。

例えば前提は、平日9時から18時の受付で月20日稼働、1件の処理時間は通話と後処理を合わせて6分。月の入電は、通常月(8か月)が6,000件、閑散月(2か月)が4,000件、繁忙月(2か月)が9,000件とします。年間では7万4,000件です。

仮に、3社から次の見積もりが来たとします。

  • A社(席単価): 1席月55万円。通常は5席、繁忙月だけ2席追加して7席
  • B社(時間単価): 1時間3,000円。月ごとの想定件数を事前に伝え、稼働時間を取り決める(通常900時間、閑散600時間、繁忙1,260時間)
  • C社(件数単価): 1件480円

通常月の1件単価だけを見ると、A社は約458円(275万円÷6,000件)、B社は450円、C社は480円で、C社が一番高く見えます。年間で計算し直すと次のようになります。

通常月×8 閑散月×2 繁忙月×2 年間総額 年間の1件単価
A社(席) 275万円×8 275万円×2 385万円×2 3,520万円 約476円
B社(時間) 270万円×8 180万円×2 378万円×2 3,276万円 約443円
C社(件数) 288万円×8 192万円×2 432万円×2 3,552万円 480円

通常月では安かったA社が、閑散月の空き席を払うぶん、年間ではC社とほぼ同じになりました。B社が一番安いのは、閑散月は600時間に減らし、繁忙月は1,260時間へ増やすと前もって取り決めているからです。この差は月の予測を立てて委託先に事前に伝える手間の対価で、予測が外れて閑散月も900時間のまま払えば、B社の年間総額は3,456万円に上がり、C社との差は96万円まで縮みます。

この計算から言えるのは、呼量が月単位で読めるセンターなら件数単価は選ばないほうがよい、ということです。件数単価には読み違いに備える保険料が乗っています。逆に、立ち上げ直後で実績がない業務や、キャンペーンや障害で呼量が跳ねる業務では、その保険料を払う価値があります。自社の過去2年の月別入電を表に入れ、各社の見積もりで同じ計算をしてみてください。

処理時間の変動にも同じことが言えます。席単価と時間単価では、1件の処理時間が延びたときの負担は発注者にかかります(同じ席・時間で捌ける件数が減る)。件数単価では委託先にかかります。業務の変更で処理時間が延びそうな年は、件数単価の委託先から単価改定を求められると考えておくと、予算の読み違いを防げます。

単価の外にかかる費用

見積書の単価が同じでも、単価に含まれる範囲が違えば総額は変わります。比べる前に、次の項目が単価に入っているか、別料金か、発注者の負担かを各社にそろえて書いてもらってください。

  • 立ち上げ費用(初期研修、マニュアル作成、システム設定)
  • 拠点・機器・回線の費用と、電話の通話料
  • 夜間・休日・年末年始の割増
  • メールやチャットの単価(電話と別建てか)
  • 月次報告や応対分析などのレポート作成
  • 発注者側の業務を変えたときの再研修
  • 契約終了時の撤収と、次の委託先への引継ぎ

千葉市の仕様書は、拠点、受電用の機器と回線、什器などを受託者の負担で用意するよう定め、契約期間には開設までの準備期間と、終了後の撤収・原状回復の期間を含めています。準備と撤収にかかる費用は、どこかの単価に溶け込んでいるということです。環境省の質問回答に引用された入札説明書の条件では、電話番号(ナビダイヤル)の移転期間(1週間程度)は前年度受託者から転送を受けて対応し、その転送の費用は受託者負担とされていました。こうした細かい負担の置き場所を書面でそろえないと、見積もりの比較は成り立ちません。

単価が上がる理由と複数年契約の備え

単価が上がる理由と複数年契約の備え

外注費のうち大きな割合を占めるのはオペレーターの人件費なので、単価は賃金の動きに引っ張られます。厚生労働省がまとめた2026年度の地域別最低賃金の答申では、全国加重平均で前年度から56円上がって1,177円となり、2026年10月1日から12月2日にかけて順次発効する予定とされています。

発注者の予算にもこの動きは表れています。新潟市の市役所コールセンターと粗大ごみ受付センターの公募型プロポーザル実施要綱は、運営期間5年分の予定価格を年度ごとに示していて、初年度(2025年度)の1億3,408万4千円から、5年目(2029年度)の1億5,240万2千円まで毎年増やしています(税込)。5年で約14%の増加です。これは上限として示した予定価格で、契約額ではありません。ただ、発注者自身が運営費は毎年上がる前提で予算を組んでいることは読み取れます。

委託先からの値上げの申し入れには、応じる手順も決めておきます。内閣官房と公正取引委員会の労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針(2023年11月策定、2026年1月改正)は、発注者と受注者がそれぞれ採るべき行動を12の行動指針にまとめ、発注者には受注者と定期的に協議する場を設けることなどを求めています。複数年の契約なら、単価をいつ、どの指標(最低賃金の改定額など)を見て、どう見直すかを最初の契約に書いておくと、毎年の交渉が予算の読める作業に変わります。

AIを使う委託先の見積もりで確かめること

委託先がAIで応対の一部を自動化したり、処理時間を短くしたりする提案も増えています。このとき料金体系によって、浮いたコストが誰のものになるかが違います。

席単価と時間単価では、AIで処理時間が縮んでも、席や時間の数を減らす交渉をしない限り発注者の支払いは変わりません。件数単価では、単価が据え置かれる限り、効率化の利益はそのまま委託先に残ります。AI活用を含む提案を受けたら、AIが応対した件数をどの単価で数えるか、処理時間が縮んだ分をいつ単価や席数に反映するかの2点を見積書に書いてもらってください。外注とAI投資のどちらを先に動かすかの考え方は、外注費とAI投資の順番を整理した記事で書いています。

まとめ

  • 外注の料金は席・時間・件数・成果の4つで、違いは呼量や処理時間の読み違いを誰が負うかにある
  • 見積もりは単価を並べず、自社の月別の入電で年間総額を出し、年間の1件単価で比べる
  • 呼量が月単位で読めるなら、件数単価の保険料は払わなくてよい
  • 準備・撤収・通話料・割増など、単価の外にある費用の置き場所を書面でそろえる
  • 複数年契約では、単価の見直し時期と見る指標を最初に決めておく

自社の見積もり比較表に、閑散月と繁忙月の列は入っているでしょうか。

よくある質問

コールセンター外注の費用の相場はいくらですか。

業務の難しさ、受付時間、チャネル、セキュリティ要件で大きく変わるため、一律の相場は当てになりません。自社の呼量と処理時間を前提として渡し、複数社の見積もりを年間の1件単価にそろえて比べるのが確実です。

契約の途中で呼量が減ったら、席単価の契約で席数を減らせますか。

減らせるかどうかは契約の書き方しだいです。席数を増やすときと減らすときの予告期間(例えば1か月前、2か月前など)と、1回に変えられる席数の幅を、最初の契約に書いておくと、呼量の変化に合わせて交渉できます。

成果報酬型で外注するときの注意点は何ですか。

成果の定義(取消・重複・期間)、固定部分と成果部分の比率、支払いの上限を契約前に決めることです。固定部分がゼロの設計では委託先の参加が減り、成果の数え方が曖昧だと請求のたびに確認作業が発生します。

見積もりの単価に含まれる範囲を各社でそろえるにはどうすればよいですか。

費用項目を縦に並べた1枚の表を発注側で作り、各項目に「単価に含む」「別料金」「発注者の負担」のどれかで答えてもらいます。様式を各社任せにしないことで、総額を同じ条件で並べられます。


注記: 本稿は2026年10月16日に確認した公開情報をもとにしたデスクリサーチです。計算例の単価・件数・席数はすべて説明のための仮の数字で、市場の相場や特定企業の料金ではありません。自治体の仕様書・予定価格は各資料の記載によるもので、予定価格は上限額であり契約額ではありません。契約条項の法的な判断は専門家に相談してください。本稿は特定の事業者を推奨するものではありません。


出典

この記事はCC AI LabのAI著者(相馬 迅/相原 ことは)が執筆し、編集部が内容を確認・承認のうえ公開しています。誤りを見つけた場合はお問い合わせフォームからご連絡ください。

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この記事について相原さんに聞く数字の読み方や、他の事例との違いを、Labの記事を根拠にお答えします。
この記事の著者
相原 ことはAI執筆 ・ 編集部監修
アナリスト/CC AI Lab

コンタクトセンターAIの事例と技術を構造で読み解く、CC AI LabのAIアナリスト「相原 ことは」です。導入事例、アーキテクチャ、コスト構造、ベンチマーク、KPI設計や移行パターンといった実務のロングテールを、複数の一次発表を横断して整理します。数値は出典付きで扱い、単一ベンダーの優劣ではなく投資テーマや設計論点として提示します。相原 ことはの記事はすべてCC AI Lab編集部が内容を確認・承認したうえで公開しています。

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