問い合わせメール返信テンプレートの作り方 コールセンターで使う例文6つ

問い合わせメールの返信テンプレートは、完成した文章を何十通りも貯めるのではなく、「部品」と「差し込み項目」の組み合わせで作ります。件名、宛名、受付の確認、回答の本体、お客様に次にしてほしいこと、署名。この6つの部品ごとに型を持ち、用件で変わるのは回答の本体だけにする。そうすると、担当者が変わっても文面の質が揃い、制度や手順が変わったときに直す箇所も1か所で済みます。この記事では、テンプレートを作る前に決めるルール、コールセンターでそのまま使える例文6つ、差し込み項目の扱い、更新の回し方を順に書きます。
返信を6つの部品に分けて型を作る
1通の返信は、次の部品でできています。
| 部品 | 中身 | 用件で変わるか |
|---|---|---|
| 件名 | 【受付番号】+用件の要約 | 用件の要約だけ変わる |
| 宛名 | {会社名}{氏名}様 | 差し込み |
| 受付の確認 | 問い合わせを受けたこと、受付番号 | 変わらない |
| 回答の本体 | 結論、理由、手順 | ここだけ毎回書く |
| 次の行動 | お客様にしてほしいこと、期限 | 用件ごとに選ぶ |
| 署名 | 窓口名、受付時間、問い合わせ先 | 変わらない |
件名には受付番号を入れます。お客様が返信してきたときに同じ案件へつなげやすく、件名だけで過去のやり取りを探せるからです。
回答の本体は、結論から書きます。文化審議会が2022年に建議した公用文作成の考え方は、結論はできれば最初の段落で示し、理由や詳細はその後に続けるよう勧めています。同じ文書は一文の長さについても、50〜60字ほどになったら読みにくくなっていないか意識するとよい、としています。行政文書向けの手引きですが、不特定多数に向けて誤解なく伝えるという目的はメール窓口と同じです。テンプレートの文を書くときの物差しとして、そのまま使えます。
テンプレートを書く前に決める3つのルール
例文より先に、窓口として3つのことを決めます。ここが決まっていないと、テンプレートは担当者ごとに書き換えられ、すぐに形が崩れます。
1つめは、一次返信の期限です。PR TIMESのカスタマーサポートツールTayoriが2023年に公表したカスタマーサポート調査では、問い合わせ経験のあるビジネスパーソン1万2,000人のうち51%が1時間以内、82%が24時間以内の返信を想定していました。Tayoriの2025年の調査では、問い合わせを検討しながら実際にはしなかった経験がある人が43.7%にのぼり、その理由の例に「返信までの時間や待ち時間を見て、長すぎると諦めた」が挙がっています。回答そのものを1時間で返せる窓口は多くありません。だから受付確認の返信で「いつまでに回答するか」を先に約束します。
2つめは、本文に書かない情報です。個人情報保護委員会のガイドライン(通則編)は、個人データを含むメールを第三者に誤送信した場合を「漏えい」の事例に挙げています。クレジットカード番号のように不正利用で財産的被害が生じるおそれのある情報が漏えいすると、委員会への報告対象にもなります。テンプレートには、カード番号・口座番号・パスワードの欄を最初から作らない。本人確認が必要な用件は「メールでは確認できないため、お電話またはマイページからお手続きください」と誘導する文を部品として持っておきます。
3つめは、敬語の度合いです。先の公用文の手引きは、程度の高い敬語を使えばよいわけではなく、過剰な表現は避けるとしています。「させていただきます」「ございます」を重ねると、丁寧に見えて結論が遠くなります。窓口で使う文末を「です・ます」と「いたします」程度に決め、テンプレートの見本に書いておくと揃います。
コールセンターで使う例文6つ
以下は、差し込み項目を { } で示した例文です。社名・窓口名・期限の日数は例なので、自社の値に置き換えてください。
受付確認(自動返信)
件名: 【受付番号 {受付番号}】お問い合わせを受け付けました
{氏名}様
{窓口名}です。お問い合わせを受け付けました。
担当者が内容を確認し、{回答予定日}までにご連絡します。
受付番号: {受付番号}
受付日時: {受付日時}
このメールは送信専用です。追加の情報がある場合は、
受付番号を添えて {問い合わせフォームURL} からお送りください。
自動返信でも、回答予定日は書きます。「順次ご連絡します」では、お客様はいつまで待てばよいか分かりません。
回答(手順の案内)
件名: 【受付番号 {受付番号}】{用件の要約}について
{氏名}様
お問い合わせいただいた{用件の要約}について回答します。
結論から申し上げると、{結論}。
手順は次のとおりです。
1. {手順1}
2. {手順2}
3. {手順3}
手順の途中で画面が違う場合は、表示されている画面名を
このメールへの返信でお知らせください。
手順は番号付きで3〜5行に収めます。それより長いなら、FAQやマニュアルのページへのリンクに替えたほうが、お客様も後で見返せます。
追加情報のお願い
{氏名}様
確認のため、次の2点を教えてください。
・{確認したい項目1}(例: ご注文番号。ご注文確認メールの件名にあります)
・{確認したい項目2}
いただいた情報をもとに、受け取りから{日数}営業日以内に回答します。
聞く項目には、どこを見れば分かるかを添えると、お客様が探す手間が減り、返信が早く戻ってきます。
調査中の中間連絡
{氏名}様
{用件の要約}について、現在{確認している部署・内容}を確認しています。
お約束していた{当初の回答予定日}までに回答できず、申し訳ありません。
{新しい回答予定日}までに、あらためてご連絡します。
期限を延ばす連絡は、元の期限が来る前に送ります。期限を過ぎてから送ると、同じ文面でも苦情につながりやすいと見ています。
対応できない旨の連絡
{氏名}様
{ご要望の内容}について、{理由}のため、ご希望に沿うことができません。
代わりに、次の方法をご案内します。
・{代替案1}
・{代替案2}
断る文では、理由を1文で書き、代わりにできることを必ず並べます。理由を省くと、同じ要望が言い方を変えて送り直されやすくなります。代替案が1つもない場合でも、問い合わせ先や今後の改善の予定など、次に取れる行動を1行は書いておきます。
他部署・他窓口への引き継ぎ
{氏名}様
{用件の要約}は、{担当部署名}が担当しています。
いただいた内容は{担当部署名}に引き継ぎましたので、
同部署から{回答予定日}までにご連絡します。
改めてお問い合わせいただく必要はありません。
最後の1行が要です。「そちらにお問い合わせください」で終えると、お客様は同じ説明を最初からやり直すことになります。
差し込み項目と書き換えてよい範囲を決める
テンプレートが崩れる一番の原因は、担当者が送信前に文面を直接書き換えることです。どこを書き換えてよいかを、テンプレートの側に決めておきます。
- 差し込み項目({氏名}{受付番号}{回答予定日}など)は、問い合わせ管理システムの項目から自動で入れる。手入力にしない
- 担当者が書くのは「回答の本体」の結論・理由・手順だけ
- 受付の確認、署名、個人情報の誘導文は書き換え禁止にする
差し込みを自動にするのは、誤送信対策でもあります。宛名を手で打ち替える運用では、前の案件の氏名が残ったまま送る事故が起きやすくなります。送信前の確認は「宛先のメールアドレスと本文の{氏名}が同じ案件のものか」の1点に絞ると、確認の手間も増えません。
テンプレートの棚卸しと更新を回す
テンプレートは作った瞬間から古くなります。料金改定、手続きの変更、システムの画面変更。そのたびに回答の本体が実態とずれます。
棚卸しのために、テンプレートの一覧に次の列を持たせます。
| テンプレート名 | 用件分類 | 担当者 | 最終改訂日 | 直近3か月の使用回数 |
|---|---|---|---|---|
| 手順案内_パスワード再設定 | アカウント | (名前) | 2026-10-01 | 120回 |
| 対応不可_返品期限切れ | 返品 | (名前) | 2026-08-15 | 9回 |
(表の数値は記入例です)
使用回数がゼロのものは統合か廃止の候補になり、回数が多いものほど改訂の優先度が上がります。担当者を1人ずつ決めておかないと、制度変更のたびに「誰が直すか」の相談から始まります。テンプレートはFAQやナレッジと同じ扱いで、FAQ・ナレッジの更新体制と一緒に管理すると、同じ説明が2か所で食い違う事態も防げます。
AIに下書きを任せるときのテンプレートの役割
生成AIにメールの下書きを書かせる窓口が増えています。このときテンプレートは不要になるのではなく、AIの出力を縛る枠に変わります。部品のうち、受付の確認・個人情報の誘導文・署名は固定の文としてAIに渡し、AIには回答の本体だけを書かせる。そうすると、AIが言い回しを変えても、約束の期限や本人確認の誘導といった外してはいけない部分は残ります。
AIの下書きを誰がどこまで確認してから送るかは、別の設計です。英国のネオバンクMonzoが生成AIの返信を最初は全部人が読んだ経緯や、英Octopus Energyが配慮が要る顧客のメールをAIに書かせない設計は、その線引きの参考になります。
テンプレートが整っていない窓口ほど、AIの下書きの質も揃わないと見ています。AIが参照する過去の返信がばらばらなら、出力もばらばらになるからです。AIを入れる前の準備として、まずテンプレートを部品に分けておくことを勧めます。
まとめ
- 返信テンプレートは、件名・宛名・受付の確認・回答の本体・次の行動・署名の6部品で作り、毎回書くのは回答の本体だけにする
- 例文より先に、一次返信の期限、本文に書かない個人情報、敬語の度合いの3つを窓口として決める
- 受付確認には回答予定日を書く。期限を延ばすときは元の期限の前に連絡する
- 差し込み項目は自動で入れ、書き換えてよい範囲をテンプレート側で決める
- 担当者・最終改訂日・使用回数を一覧で持ち、制度や画面が変わったら直す
いまの窓口のテンプレートのうち、最終改訂日が分かるものは何本あるでしょうか。
よくある質問
自動返信と担当者の一次返信は、両方送るべきですか。
両方送るのが基本です。自動返信は「届いた」ことと回答予定日を伝え、担当者の返信は回答そのものを伝えます。自動返信だけで期限を書かないと、お客様は届いたかどうか以外を知ることができません。
テンプレートの数はどれくらいが適切ですか。
数の目安より、使用回数と最終改訂日で統合・改訂していけば数は自然に絞られます。
お客様がメールにカード番号を書いてきたらどうしますか。
返信で引用しないことが第一です。返信テンプレートの引用部分から削除し、以後はメールで送らないようお願いする文を部品として用意しておきます。社内での保存と削除の扱いは、個人情報の取扱規程に沿って決めてください。
注記
確認日: 2026年10月16日。調査の数字は各発表時点のものです。例文と一覧表の数値は記入例で、実在の窓口のデータではありません。個人情報の扱いや報告義務の判断は、個人情報保護委員会の最新のガイドラインを確認し、必要に応じて専門家に相談してください。本稿はAI著者によるデスクリサーチと編集部の実務設計案で、特定の製品を推奨するものではありません。
出典
- 文化審議会「公用文作成の考え方(建議)」
- 個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」
- PR TIMES「カスタマーサポート調査をTayoriが公開|問い合わせの51%以上が1時間以内の回答を期待」
- PR TIMES「4割以上の顧客が問い合わせを断念。カスタマーサポート調査2025をTayoriが公開」
この記事はCC AI LabのAI著者(相馬 迅/相原 ことは)が執筆し、編集部が内容を確認・承認のうえ公開しています。誤りを見つけた場合はお問い合わせフォームからご連絡ください。



