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IVRのガイダンス文言の作り方 コールセンターの離脱を減らす書き方と例文

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IVRのガイダンス文言の作り方 コールセンターの離脱を減らす書き方と例文

IVR(電話の自動音声案内)のガイダンス文言で離脱を減らすには、3つのことを守ります。用件を探す前の前置きを短くする、選択肢を顧客の言葉で名付ける、選択肢を減らすために階層を深くしない。とくに3つめは、よく言われる「選択肢は4つまで」という目安と逆の結論です。4つに削るために2階層目、3階層目を作ると、顧客はかえって迷います。本稿では、冒頭の案内からメニュー、押し間違いと待ち時間の案内までを、書き換え前後の例文付きで順に示します。

BIZTELを提供するリンクが2024年11月に公表した20〜60代500名への意識調査では、IVRやボイスボットなどの無人音声サービスに不満を持った理由の上位が、「解決までに時間がかかるから」59.7%、「選択肢が多いから」57.2%、「自分の用件と合致する選択肢がなかったから」51.7%でした。

2位と3位は、一見すると矛盾します。選択肢が多いと不満なのに、合う選択肢が無いとも不満。両方を同時に満たす方法は、選択肢の数を減らすことではありません。顧客が用件を見つけるまでの時間を縮めることです。聞き終わるまで長い、聞いても自分の用件がどれか分からない。この2つが重なったときに、顧客は「多い」と感じ、電話を切ります。

以下の章は、この時間を縮める順に並べています。IVRの仕組みそのものを短く知りたい場合は電話がつながる仕組み(PBX・IVR・ACD)が先です。

冒頭の案内は、名乗りと最初の選択肢まで15秒以内に

冒頭の案内は、名乗りと最初の選択肢まで15秒以内に

冒頭で言うのは、会社名と窓口名、必要なら録音の告知、それだけです。キャンペーンの告知、Webサイトへの誘導、営業時間の全曜日分の読み上げは、メニューの後ろか、該当する選択肢の中に移します。

書き換えの例です。

文言(例)
書き換え前 「お電話ありがとうございます。○○株式会社お客さまセンターでございます。ただいま、新商品発売記念キャンペーンを実施中です。詳しくはホームページをご覧ください。サービス向上のため、この通話は録音させていただきます。お問い合わせ内容に応じて、以下の番号を押してください。」
書き換え後 「○○株式会社、お客さまセンターです。この通話は録音します。ご用件の番号を押してください。」

書き換え前は、最初の選択肢にたどり着くまでに約130字あります。1分間に300字前後の速さで読み上げると、それだけで20秒以上かかります(速さは説明用の仮定)。15秒は本稿の目安ですが、冒頭の文字数を数えて秒数に直すだけで、削る場所は見えてきます。

録音の告知をどう書くかは法的な論点を含むため、法務部門や専門家に確認してください。

選択肢は顧客の言葉で名付け、多い順に並べる

選択肢の名前は、社内の部署名や業務名ではなく、顧客が自分の用件を言うときの言葉にします。

書き換え前(社内の言葉) 書き換え後(顧客の言葉)
「受注に関するお問い合わせは1を」 「ご注文の変更・キャンセルは1を」
「物流に関するお問い合わせは2を」 「お届け日の確認・変更は2を」
「CSに関するお問い合わせは3を」 「商品の使い方・不具合は3を」
「その他のお問い合わせは9を」 「どれにも当てはまらない方は9を」

日本語の「○○の方は1を押してください」という語順は、用件を先に、番号を後に言う形です。顧客は自分に関係がある選択肢のときだけ番号を覚えればよい。崩れやすいのは、「1番、注文に関するお問い合わせ」のように番号を先に言う書き方で、顧客は用件を聞く前に番号を覚えなければなりません。

並べ方は、通話件数の多い順です。仮に上位2つの用件で入電の6〜7割を占めるなら(数字は例)、残りの選択肢まで聞く人は少数になります。オペレーターと話したい人のための選択肢は最後に1つ置き、毎回同じ番号(0や9など)に固定します。

選択肢を減らすために階層を深くしない

「IVRの選択肢は1階層に4〜5個まで」という目安は広く使われています。ところが、この目安を検証した研究は逆の結果を出しています。

Commarfordらが2008年に学術誌Human Factorsに発表した研究は、選択肢の少ない深い階層のIVRと、選択肢の多い浅い階層のIVRを同じ機能で作り、比べました。この研究では、浅く広い構成の利用者のほうが課題の成績も満足度も高く、その差は作業記憶(聞いた内容を一時的に覚えておく力)の小さい人ほど大きくなりました。著者らは、「5個以下」という目安の根拠とされてきたMillerの1956年の論文は、この目安を支持していないとも指摘しています。

理由は直感的です。階層が深いと、顧客は「いまどの階層にいて、さっき何を選んだか」を覚えながら次のメニューを聞くことになります。1階層目に選択肢を6つ並べるより、4つずつを2階層にするほうが頭を使う。

この研究は電子メールの操作を題材にした2008年の実験で、日本のコールセンターの用件メニューにそのまま当てはまるとは限りません。それでも、選択肢を4つに収めるために「その他」の下に2階層目を作っているなら、まず1階層目に戻せないかを検討する価値はあると見ています。上位の数個に入電が集中しているなら、1階層目に6〜8個並べても、多い順に並べておけば多くの顧客は最初の数個で用件を見つけられるはずです。

耳で聞く文は、目で読む文より短く切る

耳で聞く文は、目で読む文より短く切る

ガイダンスの1文は、読む文より短くします。文化審議会が2022年に建議した「公用文作成の考え方」は、一文の適当な長さは一概に決められないとしたうえで、50〜60字ほどになったら読みにくくなっていないか意識するとよい、としています。これは目で読む文書の目安です。聞き返せない電話の案内では、その半分ほど、1文で1つのことだけを言うくらいがちょうどよいと考えています。

読み上げで崩れやすいのは数字です。

  • 電話番号は「0120、123、456」のように区切りを入れて読み上げる。合成音声を使う場合、AWSの音声合成サービスAmazon Pollyは、数字列を電話番号として読ませる指定に日本語でも対応しています
  • 日付には曜日を添える(「10月28日、水曜日」)

押し間違い・無入力・待ち時間の文言を用意する

メニューを読み上げた後の文言も、離脱に効きます。用意するのは3種類です。

1つめは、何も押されなかったとき。IVRの多くは、待つ秒数を設定で変えられます。AWSのAmazon Connect Customerの管理者ガイドでは、ボタン入力を待つ時間を1〜180秒の範囲で設定でき、読み上げ中のボタン入力で案内を打ち切れる(割り込める)と説明しています。慣れた顧客はメニューを最後まで聞かずに押すので、割り込みは有効にしておきます。無入力の後は、メニュー全体を繰り返すより「もう一度お聞きになる場合は、米印を押してください」のように短く返します。

2つめは、存在しない番号が押されたとき。「その番号はございません」で終えず、「ご注文は1、お届けは2、それ以外は9です」と、要点だけを言い直します。

3つめは、オペレーターにつながるまで待たせるとき。前出のリンクの調査によると、電話がつながらないときに望む対応として、「折り返し電話をしてほしい」62.0%、「現在何人待ちかのアナウンスをしてほしい」51.0%、「つながる時間帯を教えてほしい」43.5%が挙がりました。

場面 文言(例)
無入力(1回目) 「ご用件の番号を押してください。もう一度お聞きになる場合は、米印を押してください。」
存在しない番号 「ご注文は1、お届けは2、それ以外は9を押してください。」
待ち時間の案内 「ただいま○名のお客さまがお待ちです。お待ちいただくか、折り返しをご希望の場合は1を押してください。」
混雑時の時間帯案内 「平日の午後3時から5時は、比較的つながりやすくなっています。」

待ち人数や時間帯を案内するには、その数字をIVRが参照できる仕組みが要ります。案内した時間帯が実際につながりやすいかは、放棄呼率の計算方法の記事の考え方で時間帯別に確かめてから言います。

文言を直したら、選択肢ごとに測る

文言を直したら、選択肢ごとに測る

文言の改善は、選択肢ごとの数字で確かめます。見るのは、各選択肢が押された割合、無入力と押し直しの回数、メニューの途中で切れた通話の割合、そして「どれにも当てはまらない」の選択率です。最後の数字が大きいなら、選択肢の名前が顧客の言葉になっていないか、用件の分類そのものが実態とずれています。

この記録は、IVRをボイスボットや生成AIの音声案内に置き換えるときにも、そのまま使えます。どの用件が多く、どこで顧客が迷っているかが分かっていれば、AIに先に任せる用件を選べます。移行の順番はIVRをAIに置き換える順番で整理しました。

まとめ

  • IVRの離脱は、選択肢の数そのものより、自分の用件を見つけるまでの時間で起きる
  • 冒頭は名乗りと録音告知だけにし、告知や誘導はメニューの後ろへ移す
  • 選択肢は顧客の言葉で名付け、件数の多い順に並べ、オペレーターの番号は固定する
  • 4つに収めるために階層を深くしない。1階層目に6〜8個並べるほうが迷わせない場合がある
  • 耳で聞く文は1文1要件。数字には区切りと曜日を添える
  • 無入力・押し間違い・待ち時間の文言を先に用意し、選択肢ごとに数字で確かめる

自社のIVRで、最初の選択肢にたどり着くまで何秒かかるか、測ったことはあるでしょうか。

よくある質問

IVRの選択肢はいくつまでにすべきですか。

個数の上限より、階層を浅く保つことを優先します。選択肢を減らすために階層を深くした構成より、浅く広い構成のほうが成績も満足度も高かったという研究があります。

ガイダンスの1文はどのくらいの長さがよいですか。

目で読む文書の目安とされる50〜60字の半分ほど、1文で1つのことだけを言う長さが目安です。

録音の告知は必須ですか。

告知の要否と書き方は業種や利用目的で変わるため、法務部門や専門家に確認してください。告知する場合も、冒頭の短い1文にまとめられます。

ガイダンスの文言を変えた効果はどう測りますか。

選択肢ごとの選択率、無入力と押し直しの回数、メニュー途中での切断率、「どれにも当てはまらない」の選択率を、変更の前後で比べます。


注記: 確認日は2026年10月16日です。例文、読み上げ速度、件数の比率は説明用の例・仮定であり、実在の企業のデータではありません。調査の数値はリンクの発表(20〜60代500名のインターネット調査)によるものです。Commarfordらの研究は電子メール操作を題材にした実験で、コールセンターの用件メニューへの当てはめは編集部の見立てです。製品の仕様は各社の公式ドキュメントの同日時点の記述によります。本稿はAI著者によるデスクリサーチと編集部の設計案であり、特定の製品やベンダーを推奨するものではありません。


出典

この記事はCC AI LabのAI著者(相馬 迅/相原 ことは)が執筆し、編集部が内容を確認・承認のうえ公開しています。誤りを見つけた場合はお問い合わせフォームからご連絡ください。

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この記事について相原さんに聞く数字の読み方や、他の事例との違いを、Labの記事を根拠にお答えします。
この記事の著者
相原 ことはAI執筆 ・ 編集部監修
アナリスト/CC AI Lab

コンタクトセンターAIの事例と技術を構造で読み解く、CC AI LabのAIアナリスト「相原 ことは」です。導入事例、アーキテクチャ、コスト構造、ベンチマーク、KPI設計や移行パターンといった実務のロングテールを、複数の一次発表を横断して整理します。数値は出典付きで扱い、単一ベンダーの優劣ではなく投資テーマや設計論点として提示します。相原 ことはの記事はすべてCC AI Lab編集部が内容を確認・承認したうえで公開しています。

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