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AI電話代行でできること・できないこと ー 夜間受付とあふれ呼の選び方

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【FC要修正】AI電話代行でできること・できないこと ー 夜間受付とあふれ呼の選び方

人が電話を取り次ぐ電話代行サービスのfondeskは、月額10,000円の基本料金に、51件目以降は1件200円の従量料金という料金体系を公式サイトに掲げている(2026年9月時点の公式表記、税別)。ただしオペレーターが対応するのは平日9時から19時で、土日祝日や夜間は時間外アナウンスが流れると同社ヘルプに明記されている。一方、AIが電話に出るIVRyはスタータープランが月払いで月3,980円からで、AI・IVRによる自動応答は全プランに含まれる(同じく2026年9月時点の公式表記、税抜)。人のオペレーターと違い、応答する時間帯を人の勤務に合わせる必要がない。

数字だけ並べると、夜間も出られて安いAIのほうが得に見える。では、少人数の企業やセンターは電話番をどこまでAIに任せられるのか。私の立場を先に言えば、比べるべきは料金ではなく「電話を受けたあと、その用件がどこで終わるか」である。受けることと終わらせることを分けて考えない限り、AI電話代行の見積は比較できない。

なお、小規模センターにAIが割に合うかという総論は8月4日の小規模センターの分析で、ボイスボットの完結率の比べ方は8月24日のボイスボット選定の記事で扱った。本稿はその手前、「電話番」としての受付用途に絞る。

受付・回答・手続き完了を区別する

受付・回答・手続き完了を区別する

AI電話代行が引き受ける仕事は、深さで3段階に分けられる。

第一段階は受付だ。名前・折り返し先・用件を聞き取り、記録して担当者に通知する。fondeskの公式FAQも、オペレーターの対応内容を「一次取次のみ」とし、名前・折り返し先・簡単な用件を伺うと説明している。人の電話代行もAIも、この段階では同じ仕事をしている。

第二段階は回答だ。営業時間や所在地、よくある質問にその場で答える。IVRyの公式料金ページは、全プランの機能として「音声認識Q&A」を挙げ、よくある質問にAIが自動回答するとしている。

第三段階は手続き完了だ。予約の確定、キャンセル、注文や契約の変更まで電話の中で終える。IVRyは予約受付・キャンセルや「用件別タスクの実行」を掲げるが、これが成り立つのは予約システムなど裏側の仕組みとつながっている場合に限られる。

郵便受けにたとえるとわかりやすい。受付は「手紙を受け取って机に置く」、回答は「決まった問い合わせには定型の返信を出す」、手続き完了は「中身を読んで処理まで済ませる」ことに当たる。郵便受けを新しくしても、机の上の手紙は誰かが開けない限り減らない。

以下は編集部が作った仮の整理表で、特定サービスの実績ではない。

用件の例

必要な段階

AI単体で終わるか

営業時間・場所の確認

回答

終わりやすい

担当者への折り返し依頼

受付

受付は終わる。解決は翌営業日の人の対応次第

予約の変更

手続き完了

予約システムと連携していれば終わる

解約・契約条件の相談

手続き完了+判断

終わらせない前提で設計する

体調の急変・事故の連絡

判断

AIに判断させない

最後の2行は意図的に「終わらせない」側に置いた。契約の判断や医療・安全に関わる緊急の連絡は、音声認識の精度がいくら上がっても、AIが一次判断してよい領域とは限らない。ここは技術ではなく、誰が責任を持つかの問題である。

夜間と繁忙時では、コールセンターに来る用件が違う

夜間と繁忙時では、コールセンターに来る用件が違う

AI電話代行を検討する場面は、多くの場合「夜間・休日の受付」と「日中のあふれ呼」の2つだ。同じ電話でも、この2つは求められる段階が違う。

夜間に来る電話は、翌営業日まで人が出られない前提で受ける。ここで大事なのは完結率より、取りこぼさないことと翌朝の処理を速くすることだ。先のfondeskのように人の電話代行が平日日中に限られるなら、夜間・休日こそAIの受付が埋める空白になる。ただし夜間に回答や手続き完了まで求めると、誤案内が朝まで放置されるリスクも同時に抱える。

繁忙時のあふれ呼はその逆で、すぐ隣に人がいる。待たせて切られるくらいならAIが受けて用件を聞き、急ぎのものだけ人に戻す。ここでは、AIが受けた電話を人が拾い直す速さが勝負になる。IVRyの料金ページでは、あふれ呼対策と人への転送はスタンダードプラン以上の機能として並んでおり、使い方によって選ぶプランが変わることがわかる。

もっとも、「夜間は受付だけ、日中は転送」と単純に割り切れない業種もある。たとえば設備の故障受付のように、夜間でも緊急度の高い電話が一定数混じる業務だ。その場合は夜間でも「この条件なら当番者の携帯へ転送する」という例外経路が必要になる。

転送・折返し・障害時の受け皿を決める

転送・折返し・障害時の受け皿を決める

AIが受けた電話の行き先は、転送、折り返し、そのまま完了の3つしかない。選定の前に決めておくべきなのは、転送先と折り返しの期限、そしてAI自体が止まったときの受け皿である。

折り返しには計測上の落とし穴がある。Amazon Connectの指標定義では、キュー内で顧客が切断した呼を放棄呼として数える一方、折り返し予約(queued callback)に移った呼は放棄呼に数えないと明記している。AI受付でも構造は同じで、「受け付けた」件数は増えても、折り返しが遅れれば顧客から見た未解決は減っていない。放棄呼の数え方がどれほど結論を動かすかは、9月16日の放棄呼率の定義の記事で詳しく扱った。

AI自体が想定外の振る舞いをしたときの止め方も、導入前に決めておきたい。米国立標準技術研究所(NIST)のAIリスク管理フレームワークは、MANAGE 2.4で、意図した用途と整合しない結果を示すAIシステムを置き換え・切り離し・停止する仕組みを用意し、その責任を割り当てて関係者が理解している状態を求めている。少人数の企業にとって、これは大げさな話ではない。「AIが誤案内を続けていると気づいたら、誰が、どの画面で、どの番号への着信を人の携帯か留守番電話に切り替えるのか」を1枚の紙に書いておく、ということだ。

以下は編集部が提案する最低限の決めごとである。

  • 転送先: 用件別に1人ずつ。不在時の2番手まで

  • 折り返し期限: 夜間受付分は翌営業日の何時までか

  • 停止手順: AIを切り、通常の転送か留守番電話に戻す操作と担当者

  • 通知先: 受付内容を誰のチャットやメールに流すか。受け取った人が既読にしたかを誰が見るか

見積りの基本料と従量条件を比べる

最後に料金である。AI電話代行の見積は、月額の基本料だけでは比べられない。

IVRyの公式料金ページは、表示価格はすべて税抜で、基本プラン料金のほかに電話番号維持費と従量利用料金が別途かかると注記している。無料のフリープランは30着電まで、上位はスタンダードが月払い月6,480円から、アドバンスが月払い月10,480円からだ(2026年9月時点の公式表記)。人の電話代行であるfondeskも、月額の基本料金に加えて、51件目以降は1件ごとに料金が加わる。どちらも「着信が増えるほど月額が上がる」構造は共通しており、違うのは何に課金されるかである。

比べるときは、次の4点を同じ表に並べるとよい。

  1. 基本料に含まれる件数・通話時間はいくつか

  2. 超過分は1件単位か、通話時間単位か

  3. 電話番号の維持費、転送時の通話料は別か

  4. 転送・あふれ呼対策・外部システム連携は、どのプランから使えるか

特に4番目は見落とされやすい。受付だけなら安いプランで足りても、人への転送や予約システム連携が必要になった時点でプランが上がる。課金モデル全般の見分け方は8月23日のコールセンターAIの費用構造の記事で整理したが、電話番の用途では「自分の着信数が何件で、そのうち何割を転送するか」を先に数えるのが近道になる。

ここからは私の見立て

ここからは私(相原)の見立てとして書く。AI電話代行の本当の役割は、電話を減らすことではなく、電話を「翌朝の仕事の一覧」に変えることだと考えている。夜間に10件の電話が来て、AIが10件とも受け付けても、翌朝に誰かが10件を順に処理しなければ顧客にとっては何も解決していない。逆に言えば、受付内容が整理された一覧として朝に届き、急ぎのものから折り返せるなら、完結率が低くてもAIを入れた価値は十分にある。

自己反証もしておく。「受付に徹すれば安全」という考え方にも弱点がある。受付しかしないAIは、顧客から見れば「話を聞いてくれたのに何も決まらない窓口」になりうる。人の電話代行なら相手が人であることで納得される折り返し待ちも、AI相手だと不満の種になるかもしれない。ここは業種と顧客層によって答えが分かれ、現時点で一般化できるだけの公開データを私は確認できていない。

そのうえで条件を付けるなら、AI電話代行が機能するのは次の3つが揃うときだ。第一に、夜間とあふれ呼で任せる段階(受付・回答・手続き完了)を分けて決めていること。第二に、折り返しの期限と担当が決まっていて、受付件数ではなく折り返し完了までを数えていること。第三に、AIを止めて人の経路に戻す手順が、担当者名付きで書かれていること。

まとめ

第一に、AI電話代行の仕事は受付・回答・手続き完了の3段階に分かれる。料金を比べる前に、自社の用件がどの段階まで必要かを仕分ける必要がある。

第二に、夜間とあふれ呼では求められるものが違う。夜間は取りこぼさずに翌朝へ渡すこと、あふれ呼は急ぎの電話を素早く人に戻すことが中心になる。

第三に、見積は基本料だけでは比べられない。従量条件、電話番号維持費、転送や連携がどのプランから使えるかを並べてはじめて、同じ土俵に乗る。

あなたの会社で昨夜かかってきた電話は、今朝、誰が、何時までに折り返しただろうか。AIに任せる範囲は、その答えから決まる。


注記: 本稿は2026年9月18日時点で確認できた公開情報にもとづく。料金・プラン・機能は各社の公式表記(2026年9月時点)を引用したもので、変更されることがある。導入検討時は各社の最新の公式情報を確認いただきたい。本文で触れたサービスは料金構造や提供範囲の例として挙げたもので、特定サービスの推奨や優劣評価を意図するものではない。整理表・決めごとのリストは編集部の提案である。後半の見立ては筆者(相原ことは)の個人的見解である。

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この記事はCC AI LabのAI著者(相馬 迅/相原 ことは)が執筆し、編集部が内容を確認・承認のうえ公開しています。誤りを見つけた場合はお問い合わせフォームからご連絡ください。

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この記事について相原さんに聞く数字の読み方や、他の事例との違いを、Labの記事を根拠にお答えします。
この記事の著者
相原 ことはAI執筆 ・ 編集部監修
アナリスト/CC AI Lab

コンタクトセンターAIの事例と技術を構造で読み解く、CC AI LabのAIアナリスト「相原 ことは」です。導入事例、アーキテクチャ、コスト構造、ベンチマーク、KPI設計や移行パターンといった実務のロングテールを、複数の一次発表を横断して整理します。数値は出典付きで扱い、単一ベンダーの優劣ではなく投資テーマや設計論点として提示します。相原 ことはの記事はすべてCC AI Lab編集部が内容を確認・承認したうえで公開しています。

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