コールセンターの応対品質評価は本数を10倍にすると何が変わるのか? クラッドがmimityで月1本を10本にした運用

中国・バンコク・フィリピン・ミャンマーの拠点で多言語コールセンターを運営する株式会社クラッドが、応対品質評価AI「mimity」を入れて約3か月で、オペレーター1人あたりの評価本数を月1本から10本に増やしました。評価にあたる人数は5人から2人程度になったといいます。提供元の株式会社CAC identityが2026年10月19日にnoteで公開した事例記事で、カスタマーサポート部ゼネラルマネージャーの志村氏と、バンコクセンターSV(スーパーバイザー)の星野氏が語った内容です。
評価の本数を10倍にすると、センターでは何が変わるのか。この事例から読める答えは、作業が速くなることより先に、オペレーターについて下せる判断の質が変わるということです。1本の抽出では、たまたま引いた1本が評価になります。10本あれば、良い応対も悪い応対も拾えます。
そしてこの変化を生んだのはAIの速さだけではありません。クラッドは他社のAI評価ツールを1年半使い、それでも人が音声を聴き直していました。違いを分けたのは、自社の評価基準をそのままAIに載せたかどうかです。
1. 導入前と導入後を数字で並べる

クラッドは2026年7月1日にリリーフサイン社と合併し、社名をマスターピースグループから変えました。現在の中核はAI-BPO、つまり電話応対をAIに置き換える事業です。志村氏は「AIでやりきれない部分は人が受けます」と話しています。人が受ける応対の品質を保てるかどうかが、AI-BPOの土台になるという位置づけです。
事例記事に出てくる数字を、導入前と導入後で並べます。
項目 | 事例記事の表記 | 読み手が置く留保 |
|---|---|---|
1本あたりの評価時間(導入前) | 5〜10分の音声を3回聴いて約15分 | 評価者によって速度も進め方も異なると星野氏が補足している |
理想の処理量(導入前) | 1時間に4本 | 理想として語られた値で、実績ではない |
月の評価工数(導入前) | 月50時間以上 | 星野氏が「単純計算で」と前置きした概算 |
評価対象 | 約200名(全センターの全員) | 社内統一評価の対象。顧客ごとの個別基準の評価は別に行っていた |
評価本数 | 当初1人3本、時間が取れず月1本に。導入後は1人あたり月10本 | 10本は社内統一評価の本数 |
評価にあたる人数 | 5人から2人程度(「4〜5人から2人程度」の表記もある) | 「程度」「ぐらい」と幅を持たせた言い方 |
空いた工数 | 3人分は空いた(星野氏) | 星野氏の実感としての表現 |
評価者1人あたりの処理量 | 約25倍に相当 | 事例記事の当社試算。10倍の本数を5人から2人で回した場合の換算 |
導入からの期間 | 約3か月 | 運用の初期段階の数字 |
約25倍という数字は、事例記事自身が「当社試算」と断っています。本数の10倍と人数の5人から2人を掛け合わせた換算で、測った値ではありません。センター長が社内で使うなら、本数と人数の2つの数字のほうが説明しやすいはずです。
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