折り返し電話のルール コールセンターで約束を守るために決める5項目

オペレーターが「確認して折り返します」と約束する折り返し電話は、5つの項目をセンターで決めておけば守れます。どんな時に折り返しにするか、約束をどう伝えるか、切る前に何を聞くか、つながらない時にどうするか、約束をどこに記録して誰が期限を見るか。この5つが個人の判断に任されていると、シフトが替わった途端に約束が宙に浮きます。
本稿で一番言いたいのは、折り返しの約束は担当者個人ではなくセンターの台帳に持たせる、ということです。「私から折り返します」と名乗った担当者が責任を持つのは当然ですが、その人が休んでも、期限が来たことに誰かが気づける形にしておく。電話を受けた人の記憶とメモに頼る運用では、どれほど誠実な担当者でも約束を落とします。
なお、混雑時にIVR(自動音声応答)で受け付ける折り返し予約は対象外とし、有人オペレーターが通話の中で約束する折り返しに絞ります。予約型の折り返しの処理能力の見積もりは、折返し予約の設計の記事で扱いました。
1. 折り返しにする条件を決める
最初に決めるのは、保留で済ませるか、いったん切って折り返すかの線です。
折り返しにしてよい場面は、おおむね3つあります。確認先が他部署で、すぐに回答が返らない時。調べるのに数分以上かかる時。そして、相手が感情的になっていて、時間を置いたほうが話が進む時です。3つ目について、厚生労働省のカスタマーハラスメント対策企業マニュアル(令和8年度改訂版)は、相手を落ち着かせたい場合に「確認して後日回答する」と伝えてその場を閉じ、冷静になる時間を設ける方法を挙げています。同じマニュアルは、即時に答えられない内容は事実を確認してから追って返事をすること、その場しのぎの回答をしないことも挙げています。
逆に、折り返しに逃げないほうがよい場面もあります。保留1〜2分で答えが出る確認を折り返しにすると、顧客は電話を待つ時間を背負い、センターは発信の手間を背負います。センターの線は、たとえば「保留が3分を超えそうなら折り返しを提案する」のように時間で決めると迷いが減ります(3分は編集部の例です)。保留が長くなる理由の洗い出しは、保留時間の理由コードの記事が参考になります。
折り返しにするかどうかを、顧客に選んでもらうのも1つの方法です。「確認に10分ほどかかりそうです。このまま保留でお待ちいただくか、確認後にこちらからお電話するか、どちらがよろしいですか」。
2. 約束は時刻ではなく期限で伝える
約束の伝え方で一番多い失敗は、確認先の都合を知らないまま時刻を言ってしまうことです。「30分後にお電話します」と言った後で、確認先の担当者が会議中だと分かる。
伝えるのは「〇時まで」という期限です。期限は自分の手の空き具合ではなく、確認先がいつ答えを返せるかで決めます。確認先ごとに回答にかかる目安(例えば経理なら当日中、配送なら当日の夕方まで、など)をセンターで一覧にしておくと、オペレーターが期限を言いやすくなります。
言い方は「本日15時までにご連絡します。確認がつかない場合も、15時に一度途中のご報告をします」の2文で足ります。後半の一言が肝で、答えが出ていなくても期限には連絡すると先に言っておけば、期限は守れます。顧客が不満を持つのは、答えが遅いことより、期限を過ぎても音沙汰がないことです。
3. 切る前に聞いておくこと
いったん電話を切ったら、次に話せるのは折り返しがつながった時です。切る前に聞いておくことを決めておきます。
- 折り返し先の電話番号(着信番号と違うことがある)
- つながりやすい時間帯と、避けてほしい時間帯
- 留守番電話に社名と名前を残してよいか
- 家族など本人以外が出た場合に、社名を名乗ってよいか
- 電話がつながらない場合に、SMSやメールで連絡してよいか
加えて、センターから伝えることが1つあります。どの番号から電話をかけるかです。
いま、知らない番号からの電話には出ないよう公的機関が呼びかけています。総務省の特殊詐欺対策のページは、知らない番号からの電話はすぐに応答せず、本当に必要な連絡なら後で留守番電話などで確認できると案内しています。警察庁は国際電話詐欺対策のページで、令和7年中に特殊詐欺に使われた電話番号の約75.5%が国際電話番号だったと公表し、携帯電話で番号非通知や電話帳に登録されていない番号からの着信を拒否する設定、留守番電話で相手を確かめてからかけ直す使い方を勧めています。
センターの折り返しも、この「知らない番号」の1つです。「〇〇から始まる番号でおかけします」と番号を伝えておけば、顧客が出てくれる確率は上がります。非通知での発信は避けます。NTTドコモの番号通知お願いサービスのように、非通知の着信にガイダンスを流して自動で切る仕組みを使っている相手には、着信履歴すら残りません。
4. つながらない時の手順を決める
折り返しの電話は、1回目でつながらないことを前提に組みます。上で見たとおり、留守番電話で相手を確かめてからかけ直すのが、国が勧める受け方だからです。
決めるのは、発信の回数と間隔、留守電に残す内容、期限内に連絡がつかない時の扱いです。次は編集部の例です。
| 回 | タイミング | つながらない時 |
|---|---|---|
| 1回目 | 約束の期限内、顧客が指定した時間帯 | 留守電に定型のメッセージを残す |
| 2回目 | 1回目から30分以上あけて | 留守電は残さない(1回目で残しているため) |
| 3回目 | 翌営業日の、顧客が指定した時間帯 | 了承を得ていればSMSかメールで連絡を依頼し、台帳を「連絡待ち」にする |
留守電に残す内容は、社名、名前、かけ直し先、受付番号までにします。
「〇〇株式会社お客様センターの△△です。本日お問い合わせいただいた件でお電話いたしました。恐れ入りますが、0120-XXX-XXXまでおかけ直しいただき、受付番号123をお伝えください」
用件の中身、契約や金額の話は残しません。留守電は家族が聞くこともあります。かけ直し先の番号を残すのは、顧客が公式サイトで番号を確かめてからかけ直せるようにするためでもあります。
顧客から折り返しがあった時に、誰が受けても話がつながるようにしておくことも手順の一部です。受付番号で台帳が引ければ、別のオペレーターが受けても用件を最初から聞き直さずに済みます。
5. 記録と期限の管理をセンターに持たせる
約束は台帳に書き、期限はSVかリーダーが見る。担当者の手帳や付箋には持たせません。
台帳はCRMの対応履歴でも、共有の表計算シートでも構いません。最低限、次の項目をそろえます。
| 項目 | 記入例 |
|---|---|
| 受付番号 | 123 |
| 受付日時・受付者 | 10月26日 13:05・山田 |
| 折り返し先の番号 | 090-XXXX-XXXX |
| つながりやすい時間帯 | 平日14時以降 |
| 留守電・SMSの可否 | 留守電は可、SMSは不可 |
| 用件の要約 | 9月分請求額の内訳確認。二重請求ではないかとの指摘 |
| 確認先 | 経理部 |
| 約束した期限 | 10月26日 15:00 |
| 発信の記録 | 14:55 途中連絡(経理の回答待ち)、不在のため留守電に定型文/16:20 回答の連絡、つながる |
| 完了日時・結果 | 10月26日 16:20 説明済み・解決 |
| 引継ぎ先(不在時) | 佐藤 |
(記入例は架空の内容です)
期限の管理は、1日2回、たとえば昼と夕方の決まった時刻にSVが台帳を見て、期限が近いのに「完了」になっていない行を担当者に確認する、という単純な運用で回ります。担当者がシフトを終える時は、未完了の折り返しを誰に渡すかを台帳に書いてから帰ります。
この運用には反論もあるでしょう。マニュアルが電話対応の留意点に挙げるとおり、最初に受けた人が責任を持ち、たらい回しにしないのが基本です。台帳に持たせるのは、その責任を薄めるためではありません。担当者が責任を果たせない日にも約束を守るための、予備の仕組みです。
AIで手間が減るところ
AIが入って変わるのは、主に記録の手間です。通話の自動要約が使えるなら、要約から「用件の要約」「確認先」「約束した期限」を台帳に起こす作業が軽くなります。通話の中で期限が言われたかどうかを要約の項目に入れておけば、約束の記入漏れにも気づけます。要約で後処理がどこまで減るかは、AI通話要約と後処理の解説にまとめています。
注意したいのは、要約の文面に期限が書かれていても、それだけでは誰も期限を見ていないことです。台帳に入った期限を、決まった時刻に人が見る運用は、AIを入れても残ります。
まとめ
- 有人の折り返し電話は、条件・期限の伝え方・切る前に聞くこと・不在時の手順・記録と期限管理の5項目をセンターで決める
- 約束は時刻ではなく、確認先の回答時間から決めた期限で伝え、答えが出ていなくても期限には連絡する
- 知らない番号に出ない受け方が公的に勧められている以上、発信番号を先に伝え、1回目は留守電につながる前提で組む
- 約束は担当者の記憶ではなくセンターの台帳に持たせ、期限はSVが決まった時刻に見る
担当者が急に休んだ日、今日約束した折り返しの期限に誰が気づくのか。台帳の項目を決める前に、この問いへのセンターとしての答えを先に決めておきたいところです。
よくある質問
折り返しの約束は何時と言えばいいですか。
確認先が答えを返せる時刻から逆算した期限で伝えます。「〇時までに」と言い、確認がつかない場合もその時刻に途中の連絡を入れると先に伝えておくと、約束を破らずに済みます。
留守番電話には何を残せばいいですか。
社名、名前、かけ直し先の番号、受付番号までにします。用件の中身や契約・金額の話は、本人以外が聞く可能性があるため残しません。
何回かけてもつながらない場合はどうしますか。
回数と間隔を決めておき、上限に達したら、了承を得ていればSMSやメールで連絡を依頼して台帳を「連絡待ち」にします。上限の回数はセンターで決め、オペレーターごとに変えないようにします。
折り返しの電話に出てもらえないのはなぜですか。
理由の1つは、知らない番号や非通知の電話にはすぐ出ないよう、総務省や警察庁が呼びかけていることです。切る前に、どの番号からかけるかを伝えておき、非通知では発信しないようにします。
注記: 確認日: 2026年10月16日。総務省、警察庁、厚生労働省、NTTドコモの記述は同日時点の公開資料によります。5項目の組み立て、保留から折り返しに切り替える時間、発信の回数と間隔、留守電の文例、台帳の項目と記入例は編集部の案で、記入例は架空の内容です。個人情報の取り扱いについての判断は、社内の担当部署や専門家への相談を推奨します。本稿はAI著者によるデスクリサーチであり、特定製品の推奨ではありません。
出典
- 総務省「電話の詐欺対策(特殊詐欺等対策サイト)」
- 警察庁「みんなでとめよう!!国際電話詐欺 #みんとめ」
- 厚生労働省「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル(令和8年度改訂版)」
- NTTドコモ「番号通知お願いサービス ご利用ガイドブック」
この記事はCC AI LabのAI著者(相馬 迅/相原 ことは)が執筆し、編集部が内容を確認・承認のうえ公開しています。誤りを見つけた場合はお問い合わせフォームからご連絡ください。



