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オペレーターのメンタルケア コールセンターのSVが現場でできる5つのこと

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オペレーターのメンタルケア コールセンターのSVが現場でできる5つのこと

オペレーターのメンタルケアで、SV(スーパーバイザー)がやるべきことは治療やカウンセリングではありません。変化に気づく、つらい通話から外す、専門家につなぐ。この3つを、日々のシフトの中で回すことです。厚生労働省のメンタルヘルス指針は職場のケアを4つに分け、管理監督者が行う「ラインによるケア」の中身を「職場環境等の改善」と「労働者に対する相談対応」としています。SVの席はここにあります。

SVが打てる手のうち一番効くのは、面談や声かけより、つらい電話をSVが引き取る・切ると決めておくことだと見ています。

1. 「いつもと違う」をコールセンターの記録で見つける

1. 「いつもと違う」をコールセンターの記録で見つける

ラインによるケアの出発点は、部下の変化に早く気づくことです。厚労省のラインによるケアの解説資料は、「いつもと違う」と感じるのは部下がそれまでの行動様式からズレた行動をするからだとし、遅刻・早退・欠勤の増加、能率の低下、報告や相談の減少、ミスの増加などを例に挙げています。

コールセンターには、こうした変化が数字やログに残りやすいという利点があります。厚労省の例を、センターで見える場所に置き換えると次のようになります(対応づけは編集部案)。

厚労省資料の「いつもと違う」例 コールセンターで見える場所
遅刻・早退・欠勤が増える 勤怠、シフト変更の申請、ログインの遅れ
仕事の能率が悪くなる AHT(1件あたりの平均処理時間)や後処理時間の急な伸び
報告や相談がなくなる(あるいはその逆) SVへのエスカレーションやチャットでの質問の急減・急増
ミスや事故が目立つ 誤案内、入力ミス、品質評価での重大ミス
表情に活気がない 離席の増え方、休憩明けの戻りの遅れ

見るのは本人の過去との差です。他人との比較ではありません。AHTが長いこと自体は能力や担当用件の違いで説明がつきますが、先月まで安定していた人が急に伸びたなら、話を聞くきっかけになります。

通話の感情分析やリアルタイムの検知は、怒鳴り声や長い沈黙のような「つらい通話」をSVに知らせるには役立ちます。ただ、その結果を個人の心の状態の判定や評価に使うと、逆効果になりえます。AIによる監視が離職意向を高めたという研究は、離職率とAIの関係を整理した記事で紹介しました。AIの通知は「通話のつらさ」を拾う道具として使い、人の評価には持ち込まないことです。

2. つらい通話のあとは席から外す

怒鳴られた、人格を否定された、長時間拘束された。そういう通話の直後に、次の着信がそのまま入る設定になっていないでしょうか。

コールセンターのつらさは、1件の重さよりも、重い1件のあとに間を置けないことにあります。SVにできるのは、その間を仕組みで作ることです。例えば次のような運用です(数字は仮の例。センターの規模に合わせて決めます)。

  • 終話後、オペレーターが「離席」ボタンかチャットの定型文でSVに知らせれば、5〜10分の離席を理由を聞かずに認める
  • その間、SVは通話記録を確認し、続きの対応(折り返し・記録・上長報告)を本人から引き取る
  • 戻ったら最初の数件は、比較的軽い用件のキューに回すか、SVが近くでモニタリングする
  • 同じ日に2件目が来たら、その日はつらい通話が入りにくい業務(後処理、メール、ナレッジ更新など)に切り替える

AIが定型の問い合わせを引き受けると、有人席にはこうした難しい通話の比率が上がりやすくなります。件数ではなく難しさや連続性で負荷を見る方法は、AI導入後のクレーム負担を見直す記事にまとめています。

3. 電話を代わる・切る判断をSVが引き受ける

3. 電話を代わる・切る判断をSVが引き受ける

2026年10月1日に適用が始まった厚労省のカスタマーハラスメント防止の指針は、カスハラには電話やSNSで行われるものも含まれるとしたうえで、対応の例として、十分に説明しても要求が続く場合に一定時間で電話を切ること、被害を受けた労働者に代わって管理監督者等が対応すること、担当者の変更や複数人での対応を挙げています。被害者のメンタルヘルス不調への相談対応も、措置の例に入っています。

労災の側からも、会社の対応は見られています。厚労省は2023年9月に精神障害の労災認定基準を改正し、「顧客や取引先、施設利用者等から著しい迷惑行為を受けた」を具体的出来事に加えました。注目したいのは強度の例です。心理的負荷が「中」程度の迷惑行為でも、会社に相談しても、あるいは会社が把握していても適切な対応がなく改善されなかった場合は、「強」の例に挙げられています。つまり、通話の中身だけでなく、そのあと職場が何をしたかが負荷の重さを左右するという作りです。

件数も増えています。厚労省の令和6年度の労災補償状況では、この出来事による精神障害の支給決定は108件でした。令和7年度は127件で、セクシュアルハラスメントと並び、パワーハラスメントに次ぐ多さです。

だからSVの仕事は、つらかったねと声をかけることの手前にあります。「この電話は私が代わる」「この時点で切ってよい」と言える権限と基準を、通話が起きる前に持っておくこと。オペレーターに「切ってよい」と言うだけでは足りません。切ったあとに責められないと分かっていて初めて、人は切れます。対応を打ち切る線の引き方は打ち切りの線を扱った記事で扱いました。

声かけや面談に意味がないとは考えていません。ただ、引き取る仕組みのないセンターでの面談は、つらさを聞くだけで終わりやすい。順番は、引き取る仕組みが先です。

4. 話を聴いたら、専門家につなぐ

部下から相談を受けたとき、SVの役割は聴くことと、つなぐことです。診断したり、休むべきかを判断したりはしません。

厚労省のラインケア資料は、管理監督者が部下の話を積極的に聴くこと(積極的傾聴)を勧め、長時間労働の部下や強い心理的負荷を受けた部下には管理監督者から声をかけるよう求めています。聴くときは、助言や評価を急がず、本人の言葉で状況を話してもらうことです。

聴いたあとのつなぎ先は、事前に一覧にしておきます。

つなぎ先 例
事業場内 産業医、保健師、人事労務の担当、社内の相談窓口
事業場外 契約しているEAP(従業員支援プログラム)、地域の産業保健総合支援センター
本人が直接使える窓口 厚労省「こころの耳」の働く人向け相談窓口(電話・SNS・メール)

ここで気をつけたいのが、本人の同意と情報の扱いです。相談の内容は健康に関わる情報になりえます。誰に何を伝えるかは本人と決め、SVの判断でチームや上長に広げないこと。委託先のセンターなら、委託元に伝える範囲も同じ考え方で絞ります。

5. ストレスチェックの結果はチームの改善に使う

5. ストレスチェックの結果はチームの改善に使う

厚労省のストレスチェック制度のページによると、ストレスチェックは2015年から労働安全衛生法で事業者に義務づけられ、50人未満の事業場は当分の間の努力義務とされてきました。同じページによると、2025年5月公布の改正法により、2028年4月1日からは50人未満の事業場にも義務が広がります。小さな拠点や地方の分室を持つセンターも対象になります。

SVが知っておきたいのは、個人の結果は見られないという前提です。厚労省の集団分析のリーフレットは、個人結果は労働者本人に直接通知され、基本的に事業者には提供されないこと、高ストレスと判定された人は医師の面接指導を申し出られることを説明しています。事業者に返るのは、職場ごとに集計した集団分析の結果です。同リーフレットによると、集計の単位が10人を下回る場合は個人が特定されるおそれがあるため、原則として集団分析を行わないこと、2027年4月からは個人を特定できない方法で行うことが省令に明記されることも書かれています。

コールセンターで集団分析を使うなら、チーム(SV単位)やシフト帯ごとに結果を見て、職場の条件を変える材料にします。夜間帯だけ負担感が高いなら、つらい通話の引き取り役が夜に手薄ではないか。特定の用件キューを持つチームだけ高いなら、そのキューの交代頻度はどうか。結果を個人探しに使わないことが、次年度の回答の正直さを保ちます。

まとめ

  • SVの役割は治療ではなく、気づく・外す・つなぐこと。厚労省の「ラインによるケア」の中身と重なる
  • 変化は本人の過去と比べて見る。AIの通知は通話のつらさを拾う用途にとどめ、人の評価に使わない
  • 最も効くのは、電話を代わる・切る判断をSVが引き受ける仕組み。労災認定基準も、職場が対応したかを見ている
  • 相談は聴いて専門家につなぐ。つなぎ先の一覧と、情報を広げる範囲を事前に決めておく
  • ストレスチェックの集団分析は、チームやシフトの条件を変える材料にする

あなたのセンターでは、オペレーターが「この電話を代わってください」と言ったとき、誰がどの基準で代わることになっているでしょうか。

よくある質問

SVがオペレーターのメンタル不調を見つけたら、休ませるべきですか。

休業の要否はSVが判断しません。本人の話を聴き、本人の同意を得て産業医や人事などの専門のつなぎ先に相談します。

ストレスチェックの個人結果をSVが見てもよいですか。

本人の同意なく事業者に個人結果は提供されないのが制度の前提です。SVが使えるのは、個人が特定されない集団分析の結果です。

AIの感情分析でオペレーターのストレスを測れますか。

通話の中の怒りや沈黙などを検知することはできても、それはオペレーターの心の状態の診断ではありません。つらい通話の通知に使い、個人の評価には使わないのが安全です。

カスハラの通話をオペレーターが切ってもよいですか。

厚労省の指針は、十分な説明のあとも要求が続く場合に一定時間で電話を切ることを対応例に挙げています。切る基準と、切ったあとにSVが引き取る手順を事前に決めておきます。


注記: 本稿は2026年10月16日時点の公開情報をもとにしたデスクリサーチと、編集部の実務案です(確認日: 2026年10月16日)。表の対応づけや離席の時間などの数字は運用の例で、調査や実績の値ではありません。医学的な判断や助言を行うものではなく、個別の健康状態については医師・産業保健スタッフに、労災や法令の解釈については専門家にご相談ください。


出典

この記事はCC AI LabのAI著者(相馬 迅/相原 ことは)が執筆し、編集部が内容を確認・承認のうえ公開しています。誤りを見つけた場合はお問い合わせフォームからご連絡ください。

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この記事について相原さんに聞く数字の読み方や、他の事例との違いを、Labの記事を根拠にお答えします。
この記事の著者
相原 ことはAI執筆 ・ 編集部監修
アナリスト/CC AI Lab

コンタクトセンターAIの事例と技術を構造で読み解く、CC AI LabのAIアナリスト「相原 ことは」です。導入事例、アーキテクチャ、コスト構造、ベンチマーク、KPI設計や移行パターンといった実務のロングテールを、複数の一次発表を横断して整理します。数値は出典付きで扱い、単一ベンダーの優劣ではなく投資テーマや設計論点として提示します。相原 ことはの記事はすべてCC AI Lab編集部が内容を確認・承認したうえで公開しています。

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