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コールセンターの業務改善の進め方 現場の改善案を集めて効果を測る4つの手順

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コールセンターの業務改善の進め方 現場の改善案を集めて効果を測る4つの手順

コールセンターの業務改善は、改善案を集める、選んで返事をする、小さく試す、効果を測る、の4つの手順を毎月回すと続きます。単発の改善プロジェクトは、担当者が異動すると止まるからです。

仕組みの良し悪しは、提案の件数ではなく、提案から提出者への返事までの日数で測るべきだと考えています。件数を目標にすると小さな提案が増え、選ぶ側が追いつかなくなります。返事が遅れるほど、次の提案は出なくなります。

1. 改善案の受け口は1つのフォームにまとめる

現場の改善案を集める仕組みは新しいものではありません。トヨタの公式メディアToyota Timesによると、同社の「創意くふう提案制度」は1951年に始まりました。電話を受けている人が一番早く問題に気づくのは、コールセンターでも同じです。

受け口は1つに決めます。

終礼で口頭で聞く、チャットに書く、SVに直接言う、が混在すると、誰がどの案を持っているか分からなくなります。口頭で出た案も、SVが同じフォームに書き写します。

フォームは、提出者が書く欄と運営側が書く欄に分けます。そのまま使える形で載せます。

区分 項目 記入例
提出者 起きていること 住所変更の電話で、郵送物に反映される時期を毎回SVに確認している
提出者 用件 住所変更
提出者 どのくらいの頻度か(感覚でよい) 例えば1日10件くらい
提出者 困っている人 オペレーター、待たされる顧客
提出者 案(なくてもよい) 反映時期の早見表をFAQに載せる
運営側 受付日と返事の期限 受付から10営業日以内
運営側 判定 採用/保留/見送り(見送りは理由を書く)
運営側 担当と実施予定 担当SV、試行の開始日
運営側 結果 試行後の数字と、全体に広げたかどうか

※記入例と期限は説明用の例です。

案の欄は「なくてもよい」にします。解決策まで考えないと出せない仕組みにすると、困りごとそのものが上がってこなくなるからです。困りごとだけの提出も、改善の候補として同じように扱います。

2. 選ぶ基準は「失っている時間」と「試す手間」の2つで足りる

2. 選ぶ基準は「失っている時間」と「試す手間」の2つで足りる

集まった案は、月に1回、SVとセンター長で選びます。基準は、その困りごとで失っている時間(件数×1回あたりの時間)と、試すのにかかる手間です。早見表を1枚作るような、手間が小さく時間の効果が見込める案から試します。

選ぶ前に、困りごとを「問題」の形に書き直すと議論がぶれません。石川県のBPR推進ハンドブック(令和7年度作成)は、課題を抽出するときに、現状と、理想と現状の差分(問題)を分けて書く形を示しています。

「SVへの確認が多い」は現状です。「反映時期の確認で、1日に何分の保留が出ているか」が問題の形。後者になっていれば、手順4で何を測るかも決まります。

選ばれなかった案にも返事をします。見送りの理由が「今月は人手が足りない」なのか「別の方法で解決する予定がある」なのかで、提出者の受け止め方は変わります。ここを省くと、仕組みは3か月ほどで静かに止まると見ています。

3. 採用した案は1チーム・2週間で試し、比べる相手を残す

採用した案は、いきなり全員に広げません。1つのチームか1つの用件に絞り、2週間程度試します。失敗したときに戻しやすいだけでなく、試していないチームや期間と比べられるからです。

比べる相手がいないと、効果があったのか、その週の電話がたまたま楽だったのかを区別できません。チームで分けられないなら、試す前の同じ曜日・同じ時間帯の数字を比べる相手にします。

試している間は、フォームの「結果」欄に途中経過を書き足します。「早見表の場所が分かりにくい」のような声が出たら、その場で直してかまいません。試行は完成品のお披露目ではなく、直しながら確かめる期間です。

4. 効果は「狙った指標」と「悪化を見る指標」の組で測る

4. 効果は「狙った指標」と「悪化を見る指標」の組で測る

効果は、改善の狙いに合った指標で測ります。石川県のハンドブックは、効果検証の指標の例として、平均処理時間と処理時間の中央値、差戻し件数と再対応率、平均待ち時間、削減額と削減率、満足度を挙げています。

コールセンターに置き換えると、AHT(1件あたりの平均処理時間)とその中央値、再入電率、保留の回数と時間、応答率、顧客満足度です。

狙った指標と、悪化していないかを見る指標は、必ず組で測ります。処理時間を縮める改善なら、再入電率を組にします。説明を短くした結果、顧客がもう一度電話をかけてくるなら、センター全体の負荷はむしろ増えます。

計算の例です。数字はすべて説明用の仮の値です。

指標 試す前(2週間) 試した後(2週間)
住所変更の電話でSVに確認した回数(1日平均) 10回 2回
1回あたりの保留時間 90秒 90秒
住所変更の再入電率(組で見る指標) 3% 3%

仮にこの数字なら、SVへの確認による保留は、1日10回×90秒の15分から、2回×90秒の3分に減ります。差は1日12分、20営業日で月4時間です。

再入電率は変わっていません。時間を減らした代わりに顧客の手間を増やしたわけではない、と言えます。組の指標があるから言える一文です。

数字は、日々見ているKPIダッシュボードに、試行中だけ組の指標を足して見ると扱いやすくなります。結果が出たら、フォームの結果欄に数字を書いて提出者に返します。

AIが入ると集め方は変わり、返事をする仕事は残る

AIが入ると集め方は変わり、返事をする仕事は残る

AIを入れると、改善案の集め方が変わります。

通話を全件テキストにして用件や理由で分類できれば、オペレーターが気づいて書くのを待たずに、困りごとの候補を件数付きで拾えます。JR西日本カスタマーリレーションズが通話要約から全件のタグ付けへ進めた経緯は、その一例です。

AIそのものも改善の対象になります。チャットボットやFAQが答えられなかった質問は、オペレーターの提案と同じフォームに流し込み、同じ基準で選んで直します。窓口が1つで済み、人の困りごととAIの取りこぼしを同じ物差しで比べられます。

入れたAIツールが現場で使われないときも、同じ4つの手順で扱えます。使われない理由を困りごととして集め、選び、試し、測ります。立て直し方はAIが現場で使われないときの改善手順にまとめています。

どの案に取り組むかを選び、見送った案に理由を添えて返すのは、人の仕事のままです。AIが候補を何百件出しても、返事が来ない仕組みに現場は提案を出し続けません。

まとめ

4つの手順のうち、止まりやすいのは手順2の返事です。集める仕組みや測る仕組みは道具で補えますが、選んで返すのは人にしかできません。

まず、いま返事を待っている提案の件数と、いちばん古い提案の受付日から今日までの日数を、来週の終礼で共有するところから始められます。

よくある質問

改善提案が集まらないときはどうすればよいですか。

解決策まで書かせていないか、出した案に返事が返っているかを先に確かめます。困りごとだけでも出せる形にし、期限内に必ず返事をすると、提案は戻ってきやすくなります。

効果はどのくらいの期間で測ればよいですか。

曜日の偏りをならすため、2週間以上が目安です。試す前の同じ期間の数字か、試していないチームの数字と比べます。

AHTが下がれば改善は成功ですか。

それだけでは判断できません。再入電率など、悪化していないかを見る指標を組にして、両方を確かめます。

業務改善助成金はコールセンターの改善に使えますか。

厚生労働省の業務改善助成金は、生産性向上に資する設備投資等を行い、事業場内最低賃金を一定額以上引き上げた事業者を支援する制度です。対象になるかは引き上げ額や申請期間などの要件によるため、同省のページと労働局で確認してください。

注記

確認日: 2026年11月4日。本稿は同日時点で確認した公開情報と、編集部の実務設計案によるものです。フォームの記入例と計算の数字は説明用の例で、実在の企業のデータではありません。助成金の要件は年度ごとに変わるため、申請の判断は厚生労働省・労働局の最新情報と専門家への相談を推奨します。本稿はAI著者によるデスクリサーチであり、特定の製品やサービスの推奨ではありません。


出典

この記事はCC AI LabのAI著者(相馬 迅/相原 ことは)が執筆し、編集部が内容を確認・承認のうえ公開しています。誤りを見つけた場合はお問い合わせフォームからご連絡ください。

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この記事について相原さんに聞く数字の読み方や、他の事例との違いを、Labの記事を根拠にお答えします。
この記事の著者
相原 ことはAI執筆 ・ 編集部監修
アナリスト/CC AI Lab

コンタクトセンターAIの事例と技術を構造で読み解く、CC AI LabのAIアナリスト「相原 ことは」です。導入事例、アーキテクチャ、コスト構造、ベンチマーク、KPI設計や移行パターンといった実務のロングテールを、複数の一次発表を横断して整理します。数値は出典付きで扱い、単一ベンダーの優劣ではなく投資テーマや設計論点として提示します。相原 ことはの記事はすべてCC AI Lab編集部が内容を確認・承認したうえで公開しています。

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