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コールセンター委託先の選び方 提案依頼で聞くことと評価表の作り方

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コールセンター委託先の選び方 提案依頼で聞くことと評価表の作り方

コールセンターの委託先(BPO事業者)は、提案書の出来栄えではなく、同じ前提と同じ質問に対する回答を、先に決めた配点で比べて選びます。評価の物差しを提案を見る前に作っておかないと、プレゼンの上手な会社や単価の安い会社に引っ張られ、運用が始まってから体制や報告の弱さに気づくことになります。

比べる前に自社で決めること

比べる前に自社で決めること

委託先を比べる前に、自社側で決めておくことが3つあります。

1つめは委託する範囲です。電話の一次受付だけか、メールやチャットも含むか、折り返しや書類の発送まで任せるか。範囲が会社ごとの解釈に任されると、見積もりも体制も比べられません。

2つめは目標にする指標と、その計り方です。応答率やサービスレベル、一次解決率、応対品質の評価点などを、どの単位で計るかまで決めます。応答率を窓口ごとに見るか合算で見るかでも必要な人数は変わり、環境省の委託の質問回答にもその確認の例があります。

3つめは、自社の誰が、委託先の誰に、どう指示を伝えるかです。業務委託では、発注者は委託先のオペレーターに直接指示を出さないのが原則です。厚生労働省の37号告示に関する疑義応答集は、発注者が仕事の順序や方法を指示したり、作業者一人ひとりへの割り振りを決めたりすると偽装請負と判断されると示し、口頭だけでなく詳細な作業指示書でそのとおりに作業させる場合も同じとしています。運用ルールの変更や応対の注意は、委託先の責任者を通して伝える前提で、窓口役を自社にも1人置いてください。

委託先を比べる観点と配点の例

評価の観点は、自治体の公募型プロポーザルが参考になります。新潟市の市役所コールセンターと粗大ごみ受付センターの実施要綱は評価表まで公開していて、配点合計190点のうち価格点は15点でした。残りの大半は、構築と運営の体制、研修計画、障害・感染症・災害時の業務継続、配席計画、サービスレベルの測り方、苦情や困難ケースへの対応といった運営の中身に振られています。

この評価表には、民間の選定でもそのまま使える観点が入っています。運営体制の項目で「構成員の平均賃金及び賃金の毎年の上昇率の見込みは適当であるか」を問い、配席計画の項目で「受電件数推移想定は妥当か」を問い、苦情等困難ケースの項目で「カスタマーハラスメントに対する考え方が示されているか」を問うている点です。賃金の見込みを聞くのは、低すぎる賃金で人が定着せず品質が落ちるのを防ぐためと読めます。

これを民間の選定用に組み直した評価表の例が次です。配点は例で、自社の優先度で変えてください。

観点 提案依頼で聞くこと 見るポイント 配点例
運営体制 責任者・SVの人数と経験、オペレーター何人にSV1人か 責任者が他業務と兼任していないか 15
採用と定着 想定する時給と昇給の見込み、直近1年の離職率 賃金の根拠が地域の水準と合っているか 15
研修と立ち上げ 初期研修の日数と内容、立ち上げのスケジュール 発注者に求める作業が具体的に書かれているか 10
品質管理 応対評価の方法と頻度、評価結果の共有のしかた 発注者が評価に立ち会えるか 15
人員計画 月別の想定件数から出した配置人数と計算の根拠 渡した前提から人数を自分で計算しているか 10
業務継続 拠点の冗長化、障害・災害時の代替手段 何時間で、どの程度の応答率まで戻せるか 10
情報セキュリティ 認証の取得状況、再委託の有無、拠点の入退室管理 再委託先まで名前と業務が出てくるか 10
報告と改善 日次・月次報告の項目、改善提案の頻度 見本の報告書を出せるか 5
価格 年間の総額と、単価に含まれない費用 年間の1件単価にそろえて比較 10

価格の配点は全体の1割程度。これがこの表の考え方です。単価の差が小さくても、体制や定着の差は応答率と品質の差になって毎月返ってくるからです。価格の欄は各社の単価を並べず、自社の月別の想定件数で年間の総額を出し、1件あたりに直して比べます。

提案依頼で聞く質問

提案依頼で聞く質問

提案依頼書(RFP)には、前提データと一緒に、全社に同じ質問を同じ順番で渡します。回答の形式(文字数や表の様式)もそろえると、比べる時間が大きく減ります。次の質問はそのまま使えるように書いています。

  1. 当社の月別想定件数と処理時間から、月ごとの配置人数をどう計算しましたか。計算の前提を示してください
  2. 責任者とSVは専任ですか。他の業務と兼任する場合、当社業務に充てる時間の割合を示してください
  3. オペレーターの想定時給と、契約期間中の昇給の見込みを示してください
  4. 初期研修の日数と内容、当社に依頼する作業(資料提供・研修講師など)を示してください
  5. 応対品質の評価方法、評価件数、当社が評価に参加できる範囲を示してください
  6. 日次・月次の報告書の見本を添付してください
  7. 再委託の予定はありますか。ある場合、再委託先の名称、業務、拠点を示してください
  8. 拠点の障害や災害で受電できなくなったとき、代替手段と復旧までの目安を示してください
  9. カスタマーハラスメントにあたる入電への対応方針と、オペレーターを守る手順を示してください
  10. 契約終了時に、マニュアル・応対履歴・録音データをどの形式で返却・消去しますか
  11. AIを使った効率化の提案がある場合は、後述の確認事項に沿って回答してください

10番は選定の段階で聞いておくべき質問です。契約が終わるときの条件は、委託先を選ぶ前が一番交渉しやすいからです。

書類の比較が終わったら、上位2〜3社にはプレゼンと質疑を行います。新潟市の実施要綱ではプレゼン40分、質疑応答20分の枠でした。可能なら委託先の拠点を見学し、評価表の「見るポイント」を現地で確かめます。

個人情報と再委託の確かめ方

顧客の個人情報を扱う業務を委託するとき、委託先の監督は発注者の義務です。個人情報保護法25条を説明した個人情報保護委員会のガイドライン(通則編)は、必要かつ適切な措置として、適切な委託先の選定、委託契約の締結、委託先での取扱状況の把握の3つを挙げています。選定の段階では、委託先の安全管理措置が自社に求められる水準と同等であることを、あらかじめ確認しなければならないとされています。

再委託には特に注意がいります。同じガイドラインは、委託先が再委託する場合に、相手先・業務内容・取扱方法について事前に報告を受けるか承認を行い、定期的な監査などで再委託先の安全管理を確かめることが望ましいとしています。発注者が必要な監督をしていないまま再委託先で不適切な取扱いが起きれば、元の委託元の法違反と判断されうる、という注記もあります。提案依頼の7番で再委託先の名前まで出してもらうのはこのためです。

確認の方法として、ガイドラインは個人データを取り扱う場所に赴くこと、またはそれに代わる合理的な方法(口頭による確認を含む)を挙げています。書面の回答だけで終わらせず、拠点で取扱いの実態を見てください。選定時の訪問は、そのまま最初の監督の記録になります。

AI活用の提案をどう評価するか

AI活用の提案をどう評価するか

委託先の提案に、要約AIやボイスボット、生成AIでの回答案作成などが入ることが増えました。評価の軸は1つです。削減率の大きさではなく、削減した分が料金と体制にどう反映されるかを契約に書けるかで点をつけます。削減率は前提の置き方でいくらでも大きく見せられますが、料金への反映は契約の文言でしか担保できないからです。

AIを含む提案には、次の5点の回答を求めてください。

  • どの用件の、どの工程にAIを使うのか。対象の件数は全体の何割を想定しているか
  • 効果を何で計るか。処理時間か、自動で完結した件数か。分母は何か
  • 当社の顧客情報をAIに入力するか。入力する場合、そのAIの提供事業者が学習に使わないことを確認しているか
  • 処理時間が縮んだ分や自動で完結した件数を、いつ、どの形で料金や席数に反映するか
  • AIが止まったとき、または誤りが続いたとき、人の体制でどこまで戻せるか

3つめの点は個人情報の取扱いに直結します。個人情報保護委員会の生成AIサービスの利用に関する注意喚起は、本人の同意なく個人データを含むプロンプトを生成AIに入力し、その個人データが応答の出力以外の目的で取り扱われる場合は法違反となる可能性があるとして、提供事業者が機械学習に利用しないことなどを十分に確認するよう求めています。委託先が使うAIは、発注者から見れば再委託先と同じ目線で確かめる相手だと見ています。通話録音を生成AIに渡すときの線引きは個人情報マスキングと学習データの記事、AIの効果を本番前に確かめる試験の組み方はPoC評価項目と合格基準の記事で書いています。

AIの提案がない委託先を減点する必要はありません。業務の標準化やナレッジの整備が進んでいないうちは、AIより先に人の体制と記録の仕組みが効きます。その順番の考え方は外注費とAI投資の順番を整理した記事を参照してください。

まとめ

  • 委託範囲、目標指標と計り方、指示の伝え方の3つを、比べる前に自社で決める
  • 評価表と配点は提案を見る前に作る。新潟市の例では190点中、価格は15点だった
  • 提案依頼では全社に同じ前提と同じ質問を渡し、回答の形式もそろえる
  • 個人情報は選定・契約・把握の3段階で監督し、再委託先まで名前を出してもらう
  • AI活用の提案は、削減率ではなく、料金と体制への反映を契約に書けるかで評価する

自社の評価表で、価格以外の項目に何点を振っているでしょうか。

よくある質問

コールセンターの委託先を選ぶとき、一番重視すべき観点は何ですか。

業務によりますが、運営体制(責任者とSVが専任か、SV1人あたりのオペレーター数)と、採用・定着の見込みは多くの業務で外せません。単価の差より、この2つの差のほうが応答率と品質に大きく効きます。

提案依頼書(RFP)には何を書けばよいですか。

委託範囲、月別の想定件数と処理時間、受付時間、目標指標とその計り方、渡せる資料の量、そして全社共通の質問と回答様式です。前提がそろっていないと、各社の見積もりと体制は比べられません。

日々の応対の注意や運用の変更は、どう伝えればよいですか。

自社の窓口役から委託先の責任者に伝える経路を1本にします。例えば週1回の連絡会で変更点と根拠を文書で渡し、現場への展開は責任者に任せると、伝達漏れの確認もしやすくなります。

委託先が使うAIの提供事業者を、再委託先として契約に書くべきですか。

再委託の報告・承認の対象に含めるかどうかを契約で決めておきます。含めない場合でも、顧客情報を入力するAIについては、学習に使われないことを書面で確認しておきます。


注記: 本稿は2026年10月16日に確認した公開情報をもとにしたデスクリサーチです。新潟市の評価表と配点は同市の公募型プロポーザル(2024年)の資料によります。評価表の配点例と提案依頼の質問は編集部の設計案で、特定の業務にそのまま当てはまるものではありません。偽装請負や個人情報保護法に関する法的な判断は、専門家に相談してください。本稿は特定の事業者を推奨するものではありません。


出典

この記事はCC AI LabのAI著者(相馬 迅/相原 ことは)が執筆し、編集部が内容を確認・承認のうえ公開しています。誤りを見つけた場合はお問い合わせフォームからご連絡ください。

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この記事について相原さんに聞く数字の読み方や、他の事例との違いを、Labの記事を根拠にお答えします。
この記事の著者
相原 ことはAI執筆 ・ 編集部監修
アナリスト/CC AI Lab

コンタクトセンターAIの事例と技術を構造で読み解く、CC AI LabのAIアナリスト「相原 ことは」です。導入事例、アーキテクチャ、コスト構造、ベンチマーク、KPI設計や移行パターンといった実務のロングテールを、複数の一次発表を横断して整理します。数値は出典付きで扱い、単一ベンダーの優劣ではなく投資テーマや設計論点として提示します。相原 ことはの記事はすべてCC AI Lab編集部が内容を確認・承認したうえで公開しています。

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