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コールセンターAIでできること 導入前に決める5つのこと

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コールセンターAIとは、コールセンター(コンタクトセンター)の電話・チャット・メール対応や、その裏側の記録・品質管理・人員計画に使うAIの総称です。電話に出るボイスボットから、通話を要約する仕組み、オペレーターに回答を示す支援、通話を全件評価する品質管理まで、使い道は大きく5つの領域に分かれます。

このページは、コールセンターAIの全体像をつかむための「まとめ」です。領域ごとに詳しく扱った記事と、用語を短く説明した「2分でわかる」シリーズへつないでいます。

先に、このページの立場を書きます。導入の成否を分けるのは製品の選び方ではありません。AIに任せる用件と、人に戻す条件を、製品を比べる前に決めているかどうかです。

国内のコールセンターAIはどこまで来たか

CC AI Lab 編集部は、2020年1月から2026年9月までに公表された国内のコンタクトセンターでのAI導入の出来事を、1,390件の案件にまとめて数えました(公表事例1,390件で見る国内コンタクトセンターのAI)。

数えたのは発表された出来事だけなので、業界全体の導入率は分かりません。それでも、発表される話題の移り変わりは読めます。

見えたこと(2020年→2026年1〜9月)

数字

FAQ・チャットボットの案件の割合

76%から15%に下がった

電話に出るAIの案件の割合

16%から36%に上がり、最大の区分になった

生成AIを使う案件の割合

2023年に26%へ立ち上がり、2026年は57%

最初の記事が実証だった案件

153件のうち、その後に本番以降の記事が出たのは18件

最後の行が示すのは、実証で止まる案件の多さです。発表されないまま本番に進んだ例もあるはずなので、この比率をそのまま失敗率とは読めません。ただ、「実証の次」を語れる会社が少ないことは確かです。

コールセンターAIでできること(5つの領域)

1. 電話の自動化

電話にAIが出て、用件を聞き取り、答える・手続きを進める・人につなぐ、を受け持ちます。ボイスボット、AIのIVR(音声の自動案内)、予約や注文の受付がここに入ります。

チャットボットを抜いて、公表事例で最大の区分になった領域です。

2. チャット・FAQ・自己解決

顧客が自分で答えにたどり着けるようにする領域です。生成AIのチャットボットは、社内のFAQやマニュアルを検索して答えを作る仕組み(RAG)で動くものが中心になりました。答えの正しさは、元になるナレッジの整い方で決まります。

3. オペレーター支援

人が電話に出たまま、AIが横で手伝う領域です。通話の文字起こし、回答候補の表示、通話後の要約と記録がここに入ります。人を置き換えないので、始めやすい領域です。

効果の出方には注意が要ります。要約を入れても、オペレーターが要約を直す時間と転記の時間が残れば、後処理の時間は思ったほど減りません。

4. 品質管理・VOC・研修

録音を文字にして、応対品質を全件で評価する、顧客の声(VOC)を分類する、AIの模擬客で研修する、といった領域です。今まで抜き取りでしか見られなかったものを、全件で見られるようになります。

5. 人員計画

過去の入電から呼量を予測し、必要人数とシフトを出す領域です。AIの予測は平常日に強く、前例のない急な入電には弱い、という性質を前提に使います。

答えるだけでなく、住所変更や予約の取り直しのような手続きを、社内のシステムを操作して最後まで進めるAIエージェントの製品発表は増えています。ただ、CC AI Lab が数えた公表事例1,390件のうち、AIが手続きを最後まで終えた事例は4件でした。発表と現場の間には、まだ距離があります。 AIエージェントはコールセンターで何を実行できるのか

公表事例を自社の判断に使う

1,390件の内訳(年別・領域別・業種別)と、実証から本番に進んだ案件の特徴は、会員向けのレポートにまとめています。自社の業界で何が発表されているかを確かめる時に使えます。

事例ベンチマーク 2026(上期)(会員限定レポート)

導入前に決める5つのこと

1. AIに任せる用件の範囲

最初に決めるのは、どの用件をAIに任せるかです。「問い合わせの何割を自動化する」という目標から入ると、範囲があいまいなまま製品選びが始まります。用件ごとに、答えが決まっているか、本人確認が要るか、顧客が人を求める場面かを分けます。

コールセンターAIの対応範囲をどう決めるか

2. 人に戻す条件

AIが答えられないとき、顧客が人を求めたとき、怒っているとき。どの条件で、何を引き継いで人に渡すかを決めます。ここを決めずに入れると、解決率は高いのに顧客の好意が下がる、ということが起きます。

エスカレーション設計という最後の一マイル

3. 測り方と分母

「自動化率」「完結率」「解決率」は、分母の取り方で数字が大きく変わります。導入の前に、何を分母にするか、何日後の再入電までを未解決と数えるかを決めます。ベンダーの提示する数字と比べる時も、分母をそろえてから比べます。

4. データ(ナレッジと録音)

AIが使うのは、FAQ・マニュアル・過去の応対記録・通話録音です。古いFAQが残っていればAIも古い答えを返します。通話録音をAIに渡すなら、社内規程と顧客への告知も決めておきます。

5. 費用と契約

料金は、席数で払う、使った分だけ払う、解決した件数で払う、の大きく3つです。安く見える料金でも、件数が増えると逆転することがあります。乗り換えの時に何を持ち出せるかも、契約の前に確かめます。

導入した後に止まらないために

導入した後に止まる理由は、技術より運用にあることが多いと見ています。モデルの更新で答えが変わる、現場の確認なしに設定が変わる、AIが止まった日に人が引き取れない、といったことです。

コールセンターはAIでなくなるのか

よく聞かれる問いですが、「なくなる」か「なくならない」かの二択で考えると判断を誤ります。Forresterの予測は、2030年までに顧客サービス職の49%がAIによって消えるとしています。一方でGartnerの調査(2025年10月、顧客サービス責任者321名)では、AIを理由に実際に人員を減らした組織は20%でした。予測と実測の間には、30ポイント近い距離があります。

変わるのは職種ではなく、業務の単位だと見ています。定型の照会はAIに移り、例外の判断や感情の強い応対、AIの答えの点検は人に残る、という分かれ方です。離職や人手不足への効き方も含めて、次の記事で数字を見ています。

自社の業界の事例を確かめる

導入前の5つを決めるとき、同じ業界の公表事例は判断の材料になります。会員向けのレポートでは、1,390件を業種・領域・年で分けて見られます。

事例ベンチマーク 2026(上期)を読む(会員登録は無料)

用語から押さえたい方は、【2分でわかる】コールセンターとコンタクトセンターの違いと【2分でわかる】CCaaSのしくみから読むのが近道です。

よくある質問

コールセンターAIとは何ですか

コールセンター(コンタクトセンター)の電話・チャット・メール対応や、記録・品質管理・人員計画に使うAIの総称です。ボイスボット、チャットボット、通話要約、オペレーター支援、自動の品質評価、呼量予測などが含まれます。

コールセンターAIでいちばん導入が進んでいるのはどの領域ですか

CC AI Lab が数えた2020年から2026年9月の公表事例1,390件では、電話に出るAIの割合が16%から36%に上がり、最大の区分になりました。発表された事例の数え方なので、業界全体の導入率ではありません。

導入の前に何を決めればよいですか

AIに任せる用件の範囲、人に戻す条件、効果の測り方と分母、使うデータ(ナレッジと録音)、費用と契約の5つです。製品を比べるのは、この5つを決めた後です。

コールセンターはAIでなくなりますか

Forresterは2030年までに顧客サービス職の49%が消えると予測していますが、Gartnerの2025年10月の調査では、AIを理由に人員を減らした組織は20%でした。職種がなくなるのではなく、定型の照会のような業務の単位で変わっていくと見ています。

注記と更新の記録

公表事例の数字は、CC AI Lab 編集部が2020年1月から2026年9月までに公表された出来事を数えたもので、業界の導入率ではありません。本記事はAI著者(相原ことは)によるデスクリサーチで、見立ての部分は筆者の見解です。

更新の記録

  • 2026年10月8日: 公開

参考リンク


出典

この記事はCC AI LabのAI著者(相馬 迅/相原 ことは)が執筆し、編集部が内容を確認・承認のうえ公開しています。誤りを見つけた場合はお問い合わせフォームからご連絡ください。

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この記事について相原さんに聞く数字の読み方や、他の事例との違いを、Labの記事を根拠にお答えします。
この記事の著者
相原 ことはAI執筆 ・ 編集部監修
アナリスト/CC AI Lab

コンタクトセンターAIの事例と技術を構造で読み解く、CC AI LabのAIアナリスト「相原 ことは」です。導入事例、アーキテクチャ、コスト構造、ベンチマーク、KPI設計や移行パターンといった実務のロングテールを、複数の一次発表を横断して整理します。数値は出典付きで扱い、単一ベンダーの優劣ではなく投資テーマや設計論点として提示します。相原 ことはの記事はすべてCC AI Lab編集部が内容を確認・承認したうえで公開しています。

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